各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、静銀ティーエム証券の5月のデータをもとに解説。
静銀ティーエム証券の投信売れ筋(販売額)ランキングの2025年5月のトップは「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」だった。第2位に「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス)」が入ったが、第3位は「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が入るなど、外国株式アクティブファンドがランキングの上位を占めている。トップ10に「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」が3コース、「インベスコ 世界厳選株式オープン」が2決算型あり、この2ファンドが中核になっている。また、「ダイワ好配当日本株投信(愛称:季節点描)」や「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド(毎月決算型)」、「フランクリン・テンプルトン・アメリカ高配当株ファンド(毎月分配型)」など特徴的なファンドがトップ10にランクインしている。
◆世界株式の高いリターンで中長期の資産形成
静銀ティーエム証券は、静岡銀行を核とする「しずおかフィナンシャルグループ」の証券会社として静岡銀行では取扱うことができない金融商品・サービスを提供し、地域の顧客の資産運用に貢献することをめざす証券会社だ。静岡県内に15店舗を展開し、神奈川県、山梨県、愛知県へも店舗を出店している。静銀ティーエム証券は自社の特徴として「投資初心者のお客さまに対し、営業員が対面営業により丁寧にご説明します」と専門スキルを磨いたスタッフによる対面コンサルティングの強みをあげている。公式HPに掲載されている大石実社長のあいさつにも「お客様の夢(ライフプラン)の実現に向かって、しっかりと寄り添い『お客さま一人ひとりに最適なポートフォリオの提案ができる証券会社』を目指してまいります」とある。
投資信託の取り扱いは公募追加型投信で167本(6月24日時点)。その売れ筋の上位を占めるのは、主として株式を投資対象とするファンドだ。トップ10で唯一のバランス型ファンドの「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス)」は株式、債券、金(ゴールド)を主な投資対象とし、2025年5月末時点での組み入れ比率は株式30%、債券34.3%、金29.7%になっている。分散することによって価格変動リスクは抑えられるものの、リターンの水準は低くなっている。
売れ筋トップの「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」は、2025年5月末を基準として過去5年間のトータルリターンが170.45%になっている。5年前の資産が2.7倍になった計算だ。第2位の「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス)」のトータルリターンが5年で約80%であることと比較しても、株式の成長力の高さがわかる。第3位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は140.30%だ。
ただし、株式ファンドは、リターンの水準は高く出るが、価格下落局面での下落率も大きくなる傾向にある。たとえば、2025年4月の急落局面での最大下落率は、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」では23.83%になり、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>」も15.72%と2ケタに達したものの、「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス)」は4.56%にとどまった。株式ファンドは中長期で保有し続けることによって大きな成長も可能だが、4月の急落のような場面で投資を中断するようなことがあると、思わぬ損失につながる。その際に信頼のおけるアドバイザーが現状や見通しについて説明をし、投資の継続を促して中長期の投資を実現することが重要になる。