各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、常陽銀行の5月のデータをもとに解説。

常陽銀行の投信売れ筋ランキング(販売件数)の2025年5月のトップは前月と同じ「日経225ノーロードオープン」だった。第2位に前月第10位の「のむラップ・ファンド(普通型)」がジャンプアップし、前月第2位だった「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」は第3位に後退した。また、「のむラップ・ファンド(積極型)」がトップ10圏外から第4位に食い込むなど、バランス型の「のむラップ・ファンド」が大きく順位を上げたことが目立った。同じく、トップ10圏外から「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」が第7位にランクインするなど、株式ファンドの順位が後退し、バランス型や株式以外の資産に投資するファンドの順位が上がった。

 

◆「のむラップ・ファンド」の安定感が評価に

国内株式、国内債券、外国株式、外国債券、世界各国(日本を含む)の不動産投資信託証券(REIT)を実質的な主要投資対象とし、安定的な成長をめざすバランス型ファンドの「のむラップ・ファンド」が常陽銀行の売れ筋トップ10に3銘柄もランクインした。当ファンドは「保守型」「やや保守型」「普通型」「やや積極型」「積極型」の5段階でリスク・リターンの水準を調整した資産配分を行っている。最も人気が高いのがランキング第2位に上がった「普通型」だ。2025年5月末時点のポートフォリオは、「国内株式」9.7%、「外国株式」29.5%、「世界REIT」10.6%と約50%がリスク変動の大きな資産を組み入れ、「国内債券」23.9%、「外国債券」25.1%と債券を約50%という配分比率だ。

4月に米トランプ大統領が「相互関税」を発表して世界の株価が大きく下落したものの、「のむラップ・ファンド(普通型)」の下落率は最大で年初からマイナス11.10%だった。「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」のマイナス26.80%、「日経225ノーロードオープン」のマイナス21.48%と比べると軽微だった。

「のむラップ・ファンド(積極型)」は、「国内株式」10.7%、「外国株式」54.2%、「世界REIT」が13.6%で約80%をリスク資産とし、「国内債券」4.6%、「外国債券」15.3%という配分比率だ。「外国株式」中心の積極的にリスクを取って資産の成長をめざしている。株式の比率が高いために4月の下落率は最大で16.04%までになったが、その後の戻り局面では普通型と同等の水準にまで戻っている。

そして、ランキングの第10位に入ったのが「のむラップ・ファンド(普通型)年6%目標分配金受取型」だ。このファンドは、目標分配率を年6%(隔月の各決算時1%)程度となるように定めて分配(資金払出し)を行うことをめざしている。主に年金生活者の利用を想定したファンドといえる。たとえば、500万円を購入していた場合、基本的に隔月で5万円の分配金を受け取る計算だ。資産額が徐々に減少していくが、その間も「普通型」の配分比率で運用を続けているため、資産を取り崩しながらも長く保持することが可能になる。