◆「米国債」「インド株」「Jリート」が浮上したわけは?

売れ筋トップ10に新たにランクインした「2050年満期米国国債ファンド(年4回分配型)(愛称:2050米国債)」、「HSBCインドオープン」、「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」は、それぞれ異なる資産に投資するファンドだ。米国株式を中心とした「外国株式」が人気を集めてきた中で、「米国株式の下落」というコア資産に対するネガティブな要素が出てきたことで、「投資資産を分散してポートフォリオで自己資産を守る」という意識が強く働いたように感じられる。ただ、「米国債」「インド株」「Jリート」と投資対象は関連の薄い資産に広がっている。ここには投資家の迷い、あるいは、「打診買い」といえるような心理が見て取れる。

この3ファンドの中で、パフォーマンスの面でも評価できる動きをしているのは「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」だ。年初からの基準価額(分配金込み)の上昇率は10%を超え、他のファンドが年初来でマイナス水準に沈んでいることとは異なる運用成績になっている。

「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」は、Jリート(国内不動産投信)を主要な投資対象とするファンドだが、基準価額が5000円台に対して毎月1万口あたり80円の分配金を払い出している。2025年4月末時点で実績配当利回りが5.26%という魅力的な利回り水準にある。国内の金融政策は金利引き上げ局面にあり、Jリートにとっては逆風といえる環境だが、米国の関税政策や景気見通しが不透明であることなどを背景に、金利の引き上げについては慎重に進められている。急速な利上げがなければ、Jリートの業績への影響も限定的になると考えられ、それがJリート市場の堅調な上昇にもつながっている。今後、Jリート人気が定着するかどうかに注目したい。

 

執筆/ライター・記者 徳永 浩