各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、滋賀銀行の5月のデータをもとに解説。

滋賀銀行の投信売れ筋ランキング(販売件数)の2025年5月のトップは前月と同様に「日経225ノーロードオープン」だった。第2位は前月の第3位から「たわらノーロード S&P500」が浮上し、前月第2位だった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は第3位に後退した。また、第4位には前月第5位から「たわらノーロード 全世界株式」が、第6位には前月第7位から「SMTAMダウ・ジョーンズインデックスファンド」が浮上するなど、主要な外国株式インデックスファンドが順位を上げた。一方、トップ10圏外から「2050年満期米国国債ファンド(年4回分配型)(愛称:2050米国債)」が第7位に、「HSBCインドオープン」が第8位に、「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」が第9位にランクインした。

(出所)公表データに基づいて編集部作成

 

◆アクティブよりインデックス?

滋賀銀行の売れ筋上位にある外国株式ファンドは、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」、「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」といったアクティブファンドが順位を落とし、「たわらノーロード S&P500」や「たわらノーロード 全世界株式」などインデックスファンドが順位を上げた。

それぞれのファンドの基準価額(分配金込み)の推移を追うと、2025年の年初から6月23日まででは「たわらノーロード 全世界株式」がもっとも良い成績だった。4月の急落時で最大下落率が20%以下にとどまり、その後の戻り相場でも他のファンドを引き離して戻っている。これに次ぐ成績だったのが「たわらノーロード S&P500」だった。これらのインデックスファンドに対してアクティブファンドは、パフォーマンスで見劣りした。「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」は最大下落率が24.03%と4本のファンドの中で最も大きかった。その後の戻り局面では「たわらノーロードS&P500」に勝る場面もあったが、それを抜き切るほどには力強さがなかった。「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は最大下落率こそ22.88%と「たわらノーロード S&P500」の23.08%より小さかったが、その後の戻り局面での戻りに勢いがなかった。

アクティブファンドの運用成績をわずか半年程度の短い期間で評価することは難しいが、2025年5月の人気がやや衰えた理由は、その運用成績でインデックスとの差異を示すことができなかったためといえる。2025年5月末時点の組み入れ銘柄数は「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は53銘柄、「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」は57銘柄と少ない。「たわらノーロード全世界株式」が連動する「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」の約2900銘柄とは比べるまでもなく、「たわらノーロード S&P500」の500銘柄と比較しても約10分の1だ。

銘柄数が少ないために、株式市場が下落局面にあると下落率は大きくなりがちだ。アクティブファンドの魅力は、上昇局面にあってインデックスよりもより大きな上昇率をみせることだが、4月下旬以降の戻り相場では良い成績をみせることができなかった。とはいえ、現状ではアクティブファンドへの評価が急速に悪くなったわけでもない。今後の運用成績が注目されるところだ。