ライフプランと家計収支の連携

ライフイベントや目的をイメージしていくことと合わせ、それらを実現するために必要となる資金額(経済的なコスト)の確認が不可欠です。ですので、もう一歩進めてライフプランと足元の家計収支を「ライフプラン表&キャッシュフロー表」(図表1)に反映します。

【図表1】ライフプラン表&キャッシュフロー表の作成例

三井住友トラスト・資産のミライ研究所作成

策定にあたっては、表の「上から下へ」空欄を埋めます。まずは、家族の氏名と各時点の年齢を記載します。次に、ライフイベントの欄に、ご自身(ご家族)で策定したライフプランを記入します。

キャッシュフローの欄には、家族全員の年間収支を記入します。その際、収入には昇給・降給、年金受取開始など今後の見通しも踏まえた金額を、支出にはライフイベント実現にかかる費用も含めて記入します。

最後に、年間収支と貯蓄残高を計算して記入します。年間収支は、各年の「収入」-「支出」で算出します。赤字の年は、それをカバーできる貯蓄残高があるか確認しましょう。赤字が続くと貯蓄残高の減少ピッチが早まるため、収支計画を見直す必要があります。

他方、貯蓄残高は「前年末の貯蓄残高」+「当年の年間収支」で算出します。貯蓄残高の推移をみると、家計の金融資産が枯渇する時点、いわゆる世帯の「資産寿命」が確認できます。貯蓄残高がマイナスになる場合はそれをカバーするための計画(マネープラン)を考え、すぐに取り組むことが重要です。最近では、「ライフプラン表&キャッシュフロー表」を作成できるスマホアプリもあります。見直しや再作成を考えると、活用も便利でしょう。

「専門家への相談」も金融リテラシーの1つ

ここまでの過程で、手が止まってしまう場面もあるかと思います。そこで、3つ目のステップ「相談する」に取り組みます。「相談する」とは、信頼できる機関や専門家にお金に関する悩みや疑問を投げかけ、不安を解消し、未来に向けて実践していくべき金融行動を一緒に考えることです。

ミライ研のアンケート調査で「将来の生活設計・資金計画についてFP(ファイナンシャルプランナー)や金融機関、行政の職員などに相談したことがある」と回答された方は15.1%にとどまりますが、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が事務局である金融経済教育推進会議が示す「金融リテラシー・マップ」では、「外部の知見の適切な活用」を金融リテラシーの重要な要素の1つとして挙げています。

最終的に判断するのは自分自身ですが、金融分野は専門的で複雑な内容も多く、資産運用などに関しては心理的・感情的な要素に左右される部分もあることから、自身の視点に加え、第三者から客観的なアドバイスをもらうことも大切です。

相談窓口としては、例えば、J-FLECが提供する「J-FLECはじめてのマネープラン」(同機構認定アドバイザーによる無料個別相談窓口)があります。その他、従来からある各金融機関やFPによる相談窓口も役に立ちますので、自分にとって「これがよさそう」という相談先を見つけ、上手に活用していくことが「令和スタイル」となっていくと思われます。

次回は、FWB実現の4つ目の「行動する」において、その方法と留意点をお伝えします。

(筆者:三井住友トラスト・資産のミライ研究所 研究員 矢野 礼菜)

●次回記事【思い描いたライフプランを実現する時のポイントは? 押さえておきたい「目標額の未達リスク」と「不測の事態への備え」】