ドル資産離れの材料は

ドル資産離れを引き起こしかねない材料をもう一つ紹介します。22日に米国下院で可決された税制・歳出法案の中に、税制を差別的とみなす国・地域の個人や企業を対象に税率を引き上げる第899項「不公正な外国勢に対する救済措置の執行」が盛り込まれており、ブルームバーグなどが報じました(9ページ)。

出所:内田氏

例えばA国の税制をトランプ政権が「米国にとって非常に不利だ、差別的だ」と認定した場合、A国の投資家に対して支払われる米国債などから発生するクーポン収入にも課税し、全部は払わない可能性を示唆するものです。そうなれば米国債への投資が手控えられ、ドル資産離れが助長される可能性が出てくるでしょう。

法案が最終的にどうなるかはまだ決まっていませんし、この条項が盛り込まれたとして、実際にトランプ政権が発動をするのかもわかりません。発動すれば米国の金利が上昇し、米国経済にもマイナスの影響が跳ね返ってくるからです。現時点でのメインシナリオはあくまでもそう簡単にドル資産離れは起こらないというものです。米国債に取って代わるマーケットや米ドルに代わる通貨もみあたらない為です。ただ、ここまでご紹介したドル離れの波及経路や材料については念頭に置いておく必要がありそうです。