1位は国会でも議論になったあのキーワード

今回参考にするのはシンクタンク・コンサルティングファームであるパーソル総合研究所による調査。SNS、ブログ、レビューサイト、掲示板など国内10万のソーシャルメディアから「はたらく」に関する投稿データを取得。前年同期比で投稿増減率が高かったキーワードをランキング化している。

同調査によれば、2024年度下半期での1位は「103万円の壁」。2位以下のキーワードと比べ、桁違いの突出ぶりを見せている。

出所:パーソル総合研究所「はたらくソーシャル・リスニング(2024年度下半期)」

そもそも103万円の壁とは何かというと、所得税がかかってくる最低限の年収額のことだ。収入から必要経費を引いた額を所得といい、その所得から一定額を差し引く制度が所得控除だ。その所得控除を引いて課税所得が算出され、課税所得額に税率をかけた金額が所得税となる。

会社員やパート・アルバイトなど給与所得者の場合、年収が103万円を超えると所得税が発生することになる。

問題はそれだけにとどまらない。年収が103万円を超えた人が扶養されている側である場合、配偶者控除や扶養控除が受けられなくなり、扶養する側の所得税・住民税も増加する。このように扶養される側の人の年収が103万円を超えると、世帯全体としての手取りは逆に減ってしまうケースがあることから、103万円が一つの障壁とみなされているのだ。そのため「103万円の壁」と呼ばれている。

負担増を避けるため、年収が103万円を超えないように働く時間を抑える人が少なくないといわれる。しかし人手不足が深刻化するなかで、こうした行動を防ぐ狙いもあってか、国会でも「103万円の壁」に関する議論が活発化している。

関連して、4位には社会保険加入が必要になる境界線である「106万円の壁」、7位には同様の意味で「年収の壁」もランクインしている。