ここまでお米の価格が高騰した背景は、減反政策や米農家の高齢化?
なぜ、ここまでお米の値段が急騰してしまったのでしょうか。理由はさまざまです。
1.円安による海外からの輸入肥料の価格高騰
2.コロナ禍からの需要回復
3.異常気象による不作
4.減反政策
5.米農家の高齢化
といったところでしょうか。ただし、これらのうち1から3は一時的な要因です。確かに昨年は円安が進んでいましたが、今はむしろ円高に振れていますし、訪日外国人増による需要回復も、米価を倍にするほどのインパクトはありません。異常気象だって毎年必ず起こるようなことではないので、いずれ問題は解決するでしょうし、そうなれば、少なくとも1~3を主因とする米価への上昇圧力は後退するはずです。
ただ、一方で構造的な問題があるのも事実です。
まず減反政策の影響。減反政策とは、米価維持を目的にして、生産過剰状態にあったコメ生産量を、消費量に合わせるための農業政策です。1970年あたりから行われ、2018年度まで続きました。現在は廃止されている政策ですが、2018年度までの約50年間にわたり、お米の生産を抑制し続けてきた米農家に対して、「減反政策を廃止したので今日から増産して下さい」と言ったところで、急に増産できるものではありません。
稲作を担う農業従事者の高齢化、その数字の衝撃
最大の問題は、農業従事者の高齢化と、それにともなって離農する農業従事者が年々増加していることです。
農林水産省の調査によると、2023年時点における基幹的農業従事者の年齢構成は、65歳以上が82万3000人、49歳以下が13万3000人で、若手労働力の占める割合が、大幅に少なくなっています。平均年齢でも、2023年時点で68.7歳ですが、このうち稲作農家の平均年齢はそれよりもさらに高く、71歳に達しています。
このように高齢化が進めば、稲作から引退する農業従事者も出てきます。そうなれば、お米の生産量が減るのも自明です。実際、2018年度に減反政策が廃止されたにも関わらず、お米の生産量は年々減少しています。ちなみに、2018年度の国内生産量は820万8000トンでしたが、2023年度のそれは791万1000トンまで減っています。減反政策を廃止したからといって、急に増産できるものではないことを、この数字は物語っています。