気になる発言
要するにベッセント氏の発言は全く円相場の実態をとらえていません。こうしたなかで私が心配した発言があります。それは米国との交渉の窓口となる赤澤経済再生担当大臣の記者会見におけるものです。

ここでベッセント財務長官と為替の交渉をするのかという質問に対し、赤澤大臣は「相手が持ち出した場合にはシャットアウトできない」「もちろん議論に応じることになる」と答えました。この発言自体はそこまで気にする必要はありませんが、問題はその次です。赤澤大臣は「ベッセント氏は深い金融のバックグラウンドを持ち、知見や経験は自身を遥かに上回っている」と発言しています。
先に申し上げた通り、私から見ればベッセント氏は円相場の実態を全くわかっていません。しかも日本はこれまで、円安に誘導したことはなく、国内経済を目的とした金融緩和の結果であるとのスタンスを取ってきました。ですから赤澤経済再生担当大臣は為替に関していかなる要求も突っ張らないといけない立場であるはずですが、心もとない発言でした。円安是正を部分的に受けるかのようなことが間違ってもあってはいけませんが、少々心配です。

ここからドル円相場の水準をチェックします。現在、日米間の実質長期金利差は大体2.2%です。これに対応するドル円は大体140円付近から2024年のケースでいけば153円程度でもおかしくありません。ただ金利に関係なくドルが下がっていますから、この金利差という羅針盤はあまり当てにならないかもしれません。ですから140円割れも想定せざるを得ない状況です。