経験なしの利用者は「シンプルな制度としてほしい」が25.7%と最も高く、経験ありの24.5%をわずかに上回った。これは金融経済教育を受けていない人にとって、新NISA制度がやや複雑に感じられている懸念を示している。
また、「特になし」という回答にも差があった。経験なしの利用者では25.6%が「特になし」と答えたのに対し、経験ありでは11.8%にとどまった。この差は、金融経済教育を受けた人の方が制度に対する理解が深く、具体的な改善点を見い出せている可能性を示している。反面、受けていない人ほど、制度改善の必要性を感じていない、あるいは具体的な改善点を見い出せていない可能性を示唆しているともいえる。
「他社移換や複数口座開設も…」より柔軟な制度運用に期待
なお金融経済教育の経験ありの利用者には、より具体的な改善要望を挙げる傾向が見られた。抜粋すると以下のような回答率の差が見られた。
- 「成長投資枠の非課税保有限度額を拡大してほしい」(経験あり21.6%、なし15.8%)
- 「つみたて投資枠の非課税保有限度額を拡大してほしい」(経験あり19.5%、なし13.4%)
- 「NISAで保有している資産を、NISAで保有したまま他社に移管できるようにしてほしい」(経験あり19.4%、なし13.1%)
これらの項目では、経験ありの利用者の方が5〜6ポイント程度高い割合を示している。金融経済教育を受けた人ほど、制度の詳細を理解し、より具体的な改善点を見い出している傾向にあると考えられる。より柔軟な運用を望み、積極的に制度を活用したいと望んでいるようだ。
いまや新NISA制度は、多くの人にとって資産形成の重要なツールの1つとなっている。今回の調査結果から、制度のさらなる改善と利用者のニーズに応じた柔軟な運用の必要性が明らかになった。今後、これらの改善要望が反映されていけば、より多くの人に望まれる制度としての存在感が高まっていくのではないだろうか。
調査概要:「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」 調査主体:日本証券業協会 調査対象:2024年に新NISAで金融商品を購入した7610人 調査時期:2025年1月 調査方法:インターネット調査