◆新設ファンドの多彩な顔触れ、災害に注目するファンドも
設定額で第4位の「みずほサステナブルファンドシリーズ -ロベコ・スマート・エネルギー」は、主として、世界(日本および新興国を含む)の企業の中から、スマートエネルギーの発展に貢献し、変革を促す分野で成長が期待される企業の株式に実質的に投資を行い信託財産の成長をめざすファンドだ。スマートエネルギーとは、持続可能(サステナブル)で再生可能な手段に基づくエネルギーの電化利用を進展させ二酸化炭素排出量の削減が進んだ社会を推し進める考え方や手法を意味する。同ファンドではスマートエネルギーの「作る技術」、「届ける技術」、「管理する技術」、「使う技術」に注目している。実質的な運用を行うロベコ・スイス・エージーはロベコ・グループのスイス拠点として1995年にスイス・チューリッヒに設立され、サステナブル投資に特化した運用を行いESG分野で高い評価を受けている資産運用会社だ。
ESG投資は、2006年に責任投資原則が国連環境計画・金融イニシアティブで提唱・制定され、日本では2016年以降に急速に投資が盛り上がったものの、実際には環境に配慮していない企業でも表面的に条件を満たしていれば投資対象とする「グリーン・ウォッシュ(見せかけの環境配慮)」が問題視されるようになって一気に投資が下火になってしまった。現在、ESG関連の評価をする第三者評価機関などの取り組みも充実してきたことから、改めてESG投資の重要性が評価されてきている。
「One/フェルマット・CAT債券 ファンド(年4回決算型)(為替ヘッジなし)」は、主として世界のCAT(Catastrophe=カタストロフィ(大災害)の略)債券を実質的な主要投資対象とするファンド。CAT債券とは保険会社等の企業や政府などから大災害時のリスクを移転する債券。投資家は、一定の条件を満たす大規模な災害等(ハリケーン・地震・洪水等)による損失リスクを負う代わりに、相対的に高いクーポンが期待できる。近年は温暖化などの気候変動が影響しているのか、世界的にハリケーンや大規模な山火事、洪水などの被害が頻発している。CAT債券は、大規模な災害が発生しなければ高いリターンが得られるが、災害が起こってしまった場合はCAT債券から投資家が受け取るクーポン収入や償還元本の一部、または、全部が毀損する可能性がある。
また、「eMAXIS Slim 国内株式(読売333)」は、国内株式の新しい株価指数「読売333」に連動する運用成績をめざすインデックスファンドだ。日本を代表する333銘柄(当初の組み入れ銘柄は東証プライムだけでなく、東証スタンダード市場からも選定)で構成され、「等ウェート型」で333銘柄を全て同じ比率(約0.3%ずつ)で組み入れる。「日経225」が構成する225銘柄のうち1株当たりの株価が高い「値がさ株」の比率が大きくなる傾向にあることに対して、「読売333」は値がさ株や大型株など特定の要素に左右されにくい傾向がある。「読売333」がどこまで市場に浸透するか不明だが、今後、値動きの特徴が一般に知られるようになると、新しい国内株式のインデックスとして存在感が出てくるかもしれない。
執筆/ライター・記者 徳永 浩