「投資はオルカンだけでいい」。そう思っていませんか? 確かに優れた指数ですが、それだけで本当に十分なのでしょうか。
マネックス証券チーフ・外国株コンサルタントの岡元兵八郎氏は、オルカンよりも効率的な運用ができる戦略として「SNEポートフォリオ」を提唱しています。これは、S&P500(S)、NASDAQ100(N)、新興国(E・エマージング)の3つを組み合わせ、より高いリターンを狙う投資法です。
では、この3つの市場をどう活用すればいいのか。岡元氏が詳しく解説します。(全3回の1回目)
※本稿は、岡元兵八郎著『本当に資産を増やす米国株投資』(ビジネス社)の一部を抜粋・再編集したものです。
コア・ポートフォリオのベースは「SNE」
ポートフォリオの大半を占めるコア・ポートフォリオはあくまでも市場平均を狙うためのものです。ここで迷うのが、何に投資すれば良いのかということだと思います。
前著では、S&P500に連動するETFで十分だと書いたのですが、今回は新しいアプローチを提案したいと思います。それは「SNEポートフォリオ」です。
SNEは「S&P500」「NASDAQ100」「Emerging」の頭文字を取った、私の造語です。「Emerging」(エマージング)は新興国のことです。つまり、S&P500とNASDAQ100、そして新興国の株価インデックスに連動するETFを組み合わせたポートフォリオで、コア・ポートフォリオを形成する投資法です。
コア・ポートフォリオに適した投資対象というと、最近だと多くの人が「オール・カントリー」をイメージするのではないでしょうか。これは「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」という株価インデックスが代表的で、これに対して運用成績が連動するようなポートフォリオを構築して運用される投資信託が、ここ数年で人気を博しました。
少し詳しく説明すると、先進国23カ国と、新興国24カ国の株式市場の総合的なリターンを、各国株式市場の時価総額で加重平均して指数化した株価インデックスです。つまり、各国株式市場の時価総額によって構成比率を算出したものをベースにして算出された株価インデックスになります。
この株価インデックスで、世界の株式時価総額の約85%をカバーしていると言われているので、その値動きを見ることによって世界の株価がどの方向に進んでいるのかを、おおまかに把握できます。
投資対象国や投資対象資産、あるいは銘柄が分散されればされるほど、その株価インデックスは資産運用のベースには最適という考え方が深く浸透しています。このせいか、コア・サテライト戦略(※1)を用いて長期投資のポートフォリオを構築する場合、オール・カントリーを用いるケースが一般的です。しかし、私はあえてこの流れに逆らいたいと思います。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(オルカン)でコア・ポートフォリオを構築するならば、前述した「SNEポートフォリオ」を用いたほうが、より効率的な運用ができるはずです。なぜなら、SNEポートフォリオのほうが、より成長性の高いものばかりに特化した内容になっているからです。