生命保険が引き起こす相続トラブル
その後の田辺兄弟は表面上はこれまでのように仲良くしているものの、どこかぎこちない様子。以前はそれなりに兄弟で連絡を取り合って飲みにも行っていたようだが、今ではもうそれもなくなっているようだ。
見かねた私が仲を取り持とうにも当事者たる2人がどうにも素直になれず、関係修復はまだまだ時間がかかりそうだ。生前仲の良い兄弟であり、相続の時も表面上は大きくは荒れなかっただけに関係修復までには長引くだろう。
近年遺言書を作ることが流行っているが、正確な知識がないと良かれと思って作った遺言書によってかえって遺産相続が荒れかねない。特に生命保険がトラブルの火種になるなんて思いもしないだろう。
生命保険は多くの人が加入している。それを相続財産に含めて遺言書を作るケースも多いはずだ。その時、生命保険は基本的に相続財産から切り離されて受取人固有の財産となるということを知って遺言書を作れる人はどれくらいいるだろうか。
今回田辺兄弟は絶対的な亀裂が入ったわけではないが、兄弟の関係性は相続以降確実に変わってしまった。
読者諸兄には生命保険による保険金は原則遺産分割の対象とならない。その事実を知り、そのうえで相続について改めて考えていただきたい。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。