長期金利の決定要因とは

そこで、改めて長期金利の決定要因をみておきましょう。

出所:内田氏

構成要素は期待潜在成長率(経済の足腰がどのくらい強かの見通しで短期では変動しにくい)、期待インフレ率(物価動向で変動)、プレミアム(悪い金利上昇)の3つです。そして期待潜在成長率と期待インフレ率の2つを合わせたものが期待短期金利となります。従って、長期金利にはインフレの見通しが大きく影響します。

ここで各ドル指数の対象である6通貨と米国を含めた7カ国の消費者物価指数がこの1年間でどの程度、変化したのかを見てみます。

 

図におけるゼロより下の値は前年比でインフレ率が低下したことを示しています。米国では昨年1月と今年1月を比較して、CPIはわずか0.1%ポイントしか低下しておらず、高めのインフレ率が続いている状況です。

一方、日本を除く他の国々では1%程度インフレ率が低下しています。このことから、米国長期金利よりも海外長期金利の方が下がる可能性が高いと考えられ、ドル安方向への金利差縮小は考えにくい状況です。なお、日本は前年同月比で約2%もインフレ率が上昇しています。各中央銀行が物価の安定を目指すというゲームを行っていると例えるなら、日銀は最下位という状況です。