「ヤクルト」経済の中心、宅配を軸に1日4000万本を販売 医薬品は縮小

ヤクルト本社は主に飲料や食品を製造、販売する企業です。乳酸菌飲料の「ヤクルト」シリーズを筆頭に、はっ酸乳の「ジョア」や「ミルミル」などを販売します。

設立の経緯はやや特殊です。実質的な創始者である代田稔(しろた・みのる)氏は、1930年に「乳酸菌 シロタ株」の強化培養に成功し、1935年に「ヤクルト」を発売します。

その後、販売は各地の独立した企業が担いました。それらを統括する機関として、1955年に設立されたのがヤクルト本社です。現在も、国内の売り上げの約半数は資本関係のない販売会社によります。

特徴はユニークな販売体制です。設立初期から「ヤクルトレディ」による宅配を軸としており、国内だけでなく海外でも重要なチャネルとなっています。販売数量に占める構成比は国内(単体)が48.9%、海外も42.8%に達します(国内は2024年3月期、海外は2023年)。

ヤクルト本社は世界で乳製品を1日に約4000万本販売します。ヤクルトレディはその原動力の中心です。

【ヤクルト本社のセグメント営業利益(2024年3月期)】

・飲料および食品製造販売(日本):495.3億円
・飲料および食品製造販売(米州):216.8億円
・飲料および食品製造販売(アジア・オセアニア):97.6億円
・飲料および食品製造販売(ヨーロッパ):-3.1億円
・その他:8.2億円
※その他は化粧品製造販売、医薬品製造販売、プロ野球興行など

出所:ヤクルト本社 決算短信

なお、医薬品事業は縮小の傾向です。がん関連の事業は高田製薬へ譲渡し、新しい抗がん剤の開発は終了する方針です。今後は医薬部外品や一般用医薬品、サプリメントの開発へ注力します。