確定拠出年金(DC)は2026年4月と2026年12月(2027年1月拠出分)に制度改正が行われ、拠出額を引き上げることが可能となります。今回はDCの制度改正の内容を解説し、活用法を紹介したいと思います。

2026年4月、企業型DCのマッチング拠出額の上限撤廃

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、規約で定めることにより事業主の拠出額に従業員の拠出額を上乗せする制度があり、これをマッチング拠出と呼びます。マッチング拠出は毎月の給与から天引きされ、個人型確定拠出年金(iDeCo)と同様に所得控除(小規模企業共済等掛金控除)が行われるため税金が非課税になるというメリットがあります。加えて、iDeCoは各自が自分で金融機関に口座を開設し、管理手数料等を自己負担しなければなりませんが、マッチング拠出であれば諸費用は会社が負担してくれるため、企業型DCのラインナップに投資したい商品がある場合は、とても良い制度であると思われます。

マッチング拠出はiDeCoと併用することができず、マッチング拠出額には事業主掛金額と同額までという上限があったことから、事業主拠出額が少額の場合、マッチング拠出額よりもiDeCoの掛金上限額の方が多くなるケースもあり、あえてマッチング拠出を選ばずにiDeCoを選択するという人もいたようです。

下図は企業型DCを導入している事業所のうち、マッチング拠出を実施している事業所の割合を折れ線グラフで示しています。ここでいう事業所とは、会社数ではなく、1つの支店や支社などを1事業所とカウントしています。2025年3月末現在、企業型DC導入事業所が58,326件であったのに対し、マッチング拠出を導入している事業所は11,778件にとどまり、その割合は20.2%となっています。

前述のようにマッチング拠出を導入しなくてもiDeCoに拠出できる額の方が多いからマッチング拠出は不要だと考えたり、選択制DCの導入が広がっていることなどが、2020年以降にこの割合が低下している要因だと考えられます。

【マッチング拠出実施事業所の割合】

 
(出所)運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料(2025年3月末)」よりアセットマネジメントOne作成
 

次に、マッチング拠出実施企業における事業主掛金拠出人数(加入者数)に対して、実際にマッチングを行っている人数(加入者掛金拠出人数)の割合を見ると、2025年3月末現在で34.1%と、ここ数年横ばいが続いています。マッチング拠出ができるのにあえてしないのか、iDeCoをしているのでマッチング拠出ができないのか、そもそもマッチング拠出ができることを認識していないか、様々な理由から3分の2の人がマッチング拠出をしていない状況です。

【マッチング拠出実施企業におけるマッチング拠出加入者の利用割合】

 
(出所)運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料(2025年3月末)」よりアセットマネジメントOne作成
 

しかし、2026年4月からの改正によってこうした傾向に変化が起こるのではないかと考えています。改正内容としては、マッチングの拠出額について、事業主拠出額までという上限が撤廃されるため、確定給付企業年金(DB)等の他の企業年金制度がない場合、仮に事業主拠出額が月1万円だったとすると、マッチング拠出は月4.5万円(=5.5万円-1万円)まで拠出できるようになるのです。

この改正によってマッチング拠出が見直され、マッチング拠出を始める人やiDeCoを止めてマッチング拠出に変更する人が出てくるのではないかと思われます。また、これまでマッチング拠出を導入してこなかった企業が新たにマッチング拠出を導入するという動きが出てくるのではないかと考えています。

【マッチング拠出の上限撤廃】

 
(出所)厚生労働省資料等よりアセットマネジメントOne作成