住宅ローン控除の制度が変更される可能性
2025年時点で、住宅ローンを利用してマイホームを購入する際、所定の条件を満たしていれば住宅ローン控除が適用されます。現状では「年末時点の住宅ローン残高の0.7%」が、入居時から最長13年にわたって税額控除されます。大幅な減税となるため、またの名を「住宅ローン減税」といいます。
あるのが当たり前のように感じられる住宅ローン控除ですが、恒久的な措置ではないので、税制改正によって消滅することも考えられます。実際、民主党が政権を握った際には、当時の代表が住宅ローン控除の廃止に言及したこともありました。
そもそも住宅ローン控除は、国民に住宅購入を促すことなどを目的として導入されたものです。控除額はその時々の景気に連動して変化しており、デフレ下で景気の悪化が深刻だった時期には、今より控除額が拡大されていました。
しかし、今の日本には一部エリアを除けば安い不動産も多く、高望みをしなければ家を買えないということはありません。また、住宅ローン控除でもっとも恩恵を受けるのは、構造上、多額のローンを借りた(=借りることができた)高額所得者層です。
そのように考えていくと、住宅ローン控除は必ずしも必要不可欠な施策とは言えません。不動産関連の業界団体などとのしがらみにより、簡単には廃止されないものと考えられますが、グレート・リセットが起こり、そういったしがらみのようなものもリセットされたところで、廃止になることは十分考えられます。
住宅ローン控除などの住宅購入にまつわるさまざまな優遇がなくなり、さらに利上げ局面に突入したとき、都心一等地以外の住宅価格は下落するでしょう。
●第3回は【どうして地方にもタワマンが増え続けているのか? タワマン人気が広がる必然的な構造とは】です。(3月22日に配信予定)
2030年の不動産
著者名 長嶋 修
発行元 日経BP 日本経済新聞出版
価格 990円(税込)