「長期積立」投資は新NISAと共通、企業型DC普及への素地整う

なお、キャピタル・グループでは米国でも類似の調査「米国の中小企業対象DC意識調査」を行っている。その調査では、非導入の企業の多くが調査時点から2年以内にDCを導入する可能性が高いと回答し、導入予定時期については6割超が1年以内としている。米国でも新興企業向けの税制優遇措置などの支援があれば導入の可能性が高まるとの回答が多くみられ、日本との類似点がうかがえた。

調査を振り返ってキャピタル・インターナショナルの小泉徹也代表取締役社長は、「米国での類似調査の結果が示すように、導入時の負担の大きさや制度の理解に必要な対応や事務処理の対応など、妨げとなっている原因に対し何らかのサポートがあれば導入の大きな後押しになることが明らかになった」と語る。

 
キャピタル・インターナショナル小泉徹也代表取締役社長
 

資産運用に関する税制優遇制度といえば、日本には昨年1月から制度が大幅拡充されたNISAがある。従来のNISAからさらに税制優遇措置が拡充されたこともあり、制度は広く普及し始めている。NISAが自分で金融機関を選んで口座開設をしないと始められない一方で、企業型DCは会社の福利厚生制度の一部であるため、自社に制度があれば半自動的に資産形成がスタートする。同じ資産形成のための税制優遇制度といってもこの点に違いがあり、会社に制度さえあれば従業員が始めるハードルは高くない。

企業型DCの導入率は社員数1000人以上の大企業では過半数を占める一方で、100人以下の企業では7%程度とみられる。「日本経済は中小企業が支えていると言っても過言ではない。そこで働く方々が老後の不安を抱えることなく仕事に専念でき、中小企業が成長しやすくなる環境づくりを推進することが社会にとって不可欠」(小泉社長)。

キャピタル・グループは1931年に米国で創業し、『投資の成功で人々の人生をより豊かにする』『長期継続投資によって、ゆたかな老後の生活を実現する』というミッションを掲げ、企業やそこで働く人々をサポートしている。「日本の現役で働く世代やZ世代の若者をはじめ、企業のオーナーや役員の方々に1日も早く企業型DCを導入してもらいたいと願っている」と小泉社長は力を込めた。

調査概要  調査名:確定拠出年金(DC)に対する小規模企業オーナー意識調査 調査期間:2024年5月13日~24日 調査対象:登録上従業員数30人以下の企業(回答時点で30人を超える従業員数を持つ企業も含む) 調査主体:キャピタル・インターナショナル 調査協力:特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会、SBIベネフィット・システムズ 調査運営:イプソス