今期は2期連続の最終減益を予想 調整後の利益は堅調
最後に業績を確認しておきましょう。ブリヂストンは新型コロナウイルスの影響から2020年12月期に最終赤字を経験しています。翌2021年12月期はV字回復となり、以降の純利益(継続事業ベース)は横ばいで推移しています。
直近の2024年12月期は増収減益でした。新車用タイヤで販売数量が減少した一方、市販用タイヤの販売構成比の改善や円安が影響し、売り上げを伸ばしました。減益は欧州などで再編・再構築関連費用を計上したことが主因です。なお、一過性の影響を除く調整後営業利益は前期並み(0.6%増)で着地しています。
減益は今期(2025年12月期)も続く見込みです。乗用車用タイヤの販売が新車向けで苦戦を予想すること、また引き続き事業再編・再構築費の計上も計画することから、純利益は前期比で11.2%減を見込みます。
減益は円高を見込むことも要因です。想定為替レートは対ドルで145円、対ユーロで150円と、前期比でそれぞれ7円と14円の円高を予想します。為替影響による減益は、調整後営業利益ベースで330億円を見込みます。
なお、調整後営業利益そのものは同4.5%増を予想します。増益は売値や数量の向上、販売構成比の改善などがけん引する想定です。地域別では、米州や欧州・中近東・アフリカを中心に利益が改善する見込みです。事業の再編・再構築に伴う費用は重荷ですが、一過性の要因を除けば堅調といえるでしょう。
【ブリヂストンの業績予想(2025年12月期、継続事業ベース)】
・売上収益:4兆3300億円(-2.3%)
・調整後営業利益:5050億円(+4.5%)
・純利益:2530億円(-11.2%)
※()は前期比
※2024年12月期時点における同社の予想
出所:ブリヂストン 決算短信
文/若山卓也(わかやまFPサービス)