タイヤ世界2位 次世代タイヤ「エアフリー」は実証ステージへ

まずは概要を解説します。

ブリヂストンは世界的なタイヤメーカーです。タイヤ市場のシェアは国内首位、世界でも仏ミシュランに次いで世界2位に位置します(2023年)。従業員は連結で12万5000人に達し、その大半が海外に属するグローバル企業でもあります(2023年12月期)。

セグメント(事業単位)は、2020年12月期からは主に地域別での整理です。調整後営業利益(※)は日本と米州が多くを占めています。なお、ロシア事業は2022年3月に停止し、翌年12月に撤退が完了しました。

※調整後営業利益:営業利益から調整項目を加減算したもの(調整項目:事業・工場再編損益、減損損失、減損損失戻入益、災害損失、受取保険金、その他一時的かつ多額に発生する損益)

【セグメント調整後営業利益(2024年12月期)】

・日本:1873億円
・アジア・大洋州・インド・中国:585億円
・米州:1801億円
・欧州・中近東・アフリカ:298億円
・その他:75億円

出所:ブリヂストン 決算短信

製品・サービス別では、乗用車用および小型のトラック・バス用のタイヤと、スペシャリティ系タイヤ(鉱山・建設車両用、航空機用、農業機械用、二輪車用)の利益貢献が大きめです。タイヤ以外では油圧ホース事業や空気バネなどを製造します。なお、米国建築資材事業と防振ゴム事業、化成品ソリューション事業は非継続事業に分類されています。

【製品・サービス別の調整後営業利益(2024年12月期)】

・乗用車用/小型トラック・バス用:2823億円
・トラック・バス用:579億円
・スペシャリティズ:1389億円
・化工品・多角化:42億円
※乗用車用/小型トラック・バス用は小売・クレジットカード事業を含む
※トラック・バス用はリトレッド事業を含む(リトレッド:トレッド(タイヤの接地部分のゴム層)を張り替えタイヤを再生すること)

出所:ブリヂストン 決算説明会資料

ブリヂストンは新規事業の開発にも取り組んでいます。収益化を目指す探索事業として、リサイクル事業とソフトロボティクス事業、グアユール事業を手掛けます。ソフトロボティクス事業はゴム人工筋肉を用いたロボットハンドなど、グアユール事業は天然ゴム資源「グアユール」由来のタイヤを開発する事業です。

また2008年から開発する「エアフリー」はコンセプトから実証段階に移りました。エアフリーは、特殊なスポークで荷重を支える次世代のタイヤです。空気充填が不要でパンクしないことから、高い安全性が求められる自動運転でも活用が期待されています。エアフリーは2024年3月から公道での実証実験が始まっており、2026年の社会実装を目指しています。