先日、日米首脳会談が行われ、一定の成果があったと高く評価されました。トランプ政権の特徴は「Go big(派手にやる)」で、日米共同声明では「日米関係の新たな黄金時代」がうたわれました。これは、安定した対米関係が期待されるということで、日本経済の礎と言えるほど重要なことです。

 

【日米関係はどうなる?】ウィンウィンの関係に向かい幸先の良いスタートを切ったと本当に言えるのか

2月7日の日米首脳会談は大きな岐路になると見られていました。石破政権は昨年の解散総選挙で大敗して衆議院で過半数を割り込む少数与党となりました。責任を問う声が自民党内にはあり、ポスト石破総理を探る動きも出ていました。もし日米首脳会談で決裂など関係が悪化すれば、そうした動きが表面化したことでしょう。しかし、日米首脳会談は一定の成果を収めたと高く評価されています。

日米共同声明では「日米関係の新たな黄金時代」がうたわれました。これは、大統領就任演説でトランプ大統領が宣言した「米国の黄金時代がいま始まる」に呼応していると見られます。日米関係の黄金時代とは、トランプ政権が重視するMAGA(米国を再び偉大な大国に)に日米双方が協力し合うことで合意したと理解して良いと思います。

具体的に見ましょう。平和のための日米協力では、日米同盟がインド太平洋およびそれを超えた地域の平和、安全、繁栄の礎であることが強調されました。米国は核を含め日本の防衛に対する揺るぎのない関与を強調しました。産業協力では、防衛分野、宇宙開発、人工知能(AI)、量子コンピューター、半導体、重要機微技術、サプライチェーン強靭化(きょうじんか)で協力する方向性とそのための外務・防衛閣僚による閣僚会議(2プラス2)の創設が確認されました。日本から米国への投資では、現状の7833億ドルから1兆ドルに引き上げる方向性が示されました。エネルギー安全保障としてアラスカに天然ガスのパイプラインを新設し、アジア向けに輸出する構想が示されました。天然ガスの現状の米国から日本への輸出は主にパナマ運河を通るため容量が制約されます。もしこれが実現したらアジアのエネルギー需給は大きく変貌すると想定されます。

まずは日米双方がウィンウィンの関係に向かって幸先の良いスタートを切ったとみられます。ただし、2017年から始まったトランプ第1次政権では米国の要求が後になってどんどん厳しくなりました。この事実は肝に銘じておくべきだと思います。

 

■関連リンク:
https://www.resona-am.co.jp/labo/amdays/20250224.html