今年は正月休みが長く、ゆっくりとした時間を過ごせた人も多いことでしょう。日本の正月は世界的にも独特の文化と言われています。昨今は、日本の「お正月」を楽しみに来る外国人も増えていますし、NHKの大河ドラマも日本独特の文化のひとつです。そこで今回は、2025年の大河ドラマのテーマである「エンタメ」から日本の文化経済を読み解いてみましょう。
「エンタメで日本を変える」江戸に花開いた産業が、現代日本の発展につながっている
大河ドラマは公共放送であるNHKが放映します。主人公には戦国武将や明治維新の偉人がよく取り上げられます。しかし昨今は、女性の活躍や文化の時代を反映するテーマ設定も増えています。
今年のNHK大河ドラマ「べらぼう」は蔦屋重三郎が主人公です。蔦谷重三郎は「エンタメで日本を変える」信念を持って実現した実在の人物です。時代的には18世紀の後半、江戸時代のバブル期とも評される田沼意次が老中だった時代、さらにはその反動で綱紀粛正が図られた寛政の改革の時代に活躍しました。正反対の両方の時代に活躍したのです。エンタメの分野は多岐にわたります。プロデューサーとして今のブロマイドに相当する吉原の美人画や歌舞伎役者の大首絵、今の旅行ガイドブックに相当する吉原案内本、ほかにも山東京伝や葛飾北斎や十返舎一九らの創作に関わりました。
「エンタメで日本を変える」は現在の日本にふさわしいテーマ設定です。昭和時代の日本の成長産業は電機や自動車の輸出でした。しかし、製造業の空洞化が進んだ今、モノの貿易収支は赤字です。代わって輸出の主力になり始めているのがインバウンドと文化なのです。インバウンドは産業としては自動車に次ぐ第2位のサービス輸出にまで成長しました。文化は日本食、アカデミー賞を受賞するなど海外でも評価の高い日本映画、ハローキティなどのキャラクター、海外にファンの多いアニメ、ゲームなどです。さらに最近は花見や紅葉狩りに来る外国人も増えています。なぜ日本への旅行が外国人に高い人気なのか、その鍵は日本の文化にあると思います。
経済産業省はアニメや日本映画の輸出を支援するクールジャパン戦略を古くから進めています。文化庁は、文化への投資が経済発展の好循環に結び付く文化経済戦略を進めています。江戸時代に花開いた日本のエンタメ産業が現代日本の文化、そして文化経済の発展にどうつながっていくのか、見て知って学ぶのが楽しみですね。
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