「プライム150指数」採用の決め手となった「資本収益性」とは

最後に、寿スピリッツのJPXプライム150指数への選定基準となった資本収益性について押さえておきましょう。

JPXプライム150指数における資本収益性とは「エクイティ・スプレッド」のことです。エクイティ・スプレッドとは、投資家が要求する利益(株主資本コスト)と、企業が稼ぐ利益の差を指します。株主資本コストは、安全資産や株式市場の平均的なリターンなどから推定することが一般的です。

JPXプライム150指数では次のように定義されています。

【JPXプライム150指数のエクイティ・スプレッド】

・エクイティ・スプレッド:ROE-株主資本コスト
・株主資本コスト:日本国債10年利回り+各銘柄の市場感応度×(市場リターン-日本国債10年利回り)
※市場リターンはTOPIXの年率換算

エクイティ・スプレッドがプラスなら、企業の利益が投資家の要求を超えている状態です。投資家の期待を満たすため買いが集まりやすく、株価は上昇しやすいと考えられます。

一方、エクイティ・スプレッドのマイナスは、企業が投資家の期待にこたえられていない状態です。その企業の株式は売られやすくなり、株価の下落を誘引することとなります。

では、寿スピリッツはどうでしょうか。同社は株主資本コストを9%程度と見積もっています。これに対し、ROEは35.1%です(2024年3月期)。つまりエクイティ・スプレッドは26%ほどのプラスと考えられます。

株主資本の考え方から、寿スピリッツが市場で高い評価を得ているのは、エクイティ・スプレッドが大幅にプラスだからと説明できます。収益性を維持できれば、引き続き投資家から支持されるかもしれません。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)