2025年前半投資環境の見通し:マクロ環境・金融環境

マクロ環境:米景気回復期待強まる トランプ登場でどうなる?

世界経済は緩やかな回復が続いていますが、回復期待の高まり方は地域ごとに異なります。IMF(国際通貨基金)は四半期ごとに経済見通しをアップデートしています。2025年の成長率予測の変化を見ると、2024年1月の公表以降、米国は累計1.0%ptの上方修正となっています。特に直近2回の上方修正の大きさが顕著です(下図、枠内)。2024年はマイナス成長(IMF推計値)で出遅れた日本や、財政・金融支援を強化している中国も累計で上方修正されていますが、米国に比べると修正は小幅です。対照的に回復期待が減衰しているのが欧州です。累計0.7%ptの下方修正となり、足元も連続で大きく見通しが切り下げられました。回復期待が強まる米国と、出遅れる他地域の構図は、2025年も続くのでしょうか。

ワイルドカードは米トランプ政権の政策です。トランプ米大統領が米国第一主義を進め、関税引き上げや規制緩和の促進でグローバルサプライチェーンを米国内に囲い込んだ場合、世界中の投資マネーが米国に向かうことで、米国とそのほかの地域の成長率格差はさらに広がる可能性があります。一方、トランプ大統領による関税引き上げや移民労働者の強制送還の悪影響が大きくなる場合、米景気悪化やインフレ再燃・金利上昇につながり、米国独り勝ち状態が崩れることも考えられます。

1月の大統領就任式でトランプ氏は、エネルギー開発規制の緩和等でインフレ抑制に取り組む姿勢を示しました。いったんは市場を安堵させましたが、今後も米国の政策を巡る不確実性は高く、世界全体に悪影響が及ぶ可能性には注意が必要です。

 

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