2025年前半の投資環境見通し:サマリー

ゴルディロックス(適温景気)と高ボラティリティ

2025年前半の投資環境は、適温景気と高ボラティリティの組み合わせになると予想されます。

マクロ環境は、強すぎず・弱すぎないゴルディロックス(適温景気)状態が続くと予想されます。先行指標となるグローバル総合PMIの直近1月値は51.8と景気拡大・減速の判断の境目となる50を小幅に上回り、世界景気の緩やかな拡大継続を示唆しています。金融環境は、日本を除く主要先進国が揃って引き締め度合いの調整を続ける見通しです。2024年に比べ利下げペースは鈍化するものの、金融環境は一段と緩和が進むと予想されます。「適温景気」と「金融環境の緩和」の組み合わせとなる局面は、通常、株高・債券安定につながり易いと考えられます。

では、トランプ政権は、マーケットのかく乱要因でしかなく、それ(トランプ要因)さえなければ、良好な投資環境が期待できたかと言えば、決してそうではないと思います。先の大統領選挙では、ハリス候補の「企業・富裕層増税」とトランプ候補の「減税・小さな政府路線」が明確な対立軸でした。トランプ氏の勝利は、米国企業家とマーケット参加者のアニマルスピリッツを刺激したと言われています。これまで米国景気を支えてきた財政支援に代わって、この先は企業投資と生産性向上が、成長のドライバーになると期待されます。そこでは、AIの普及と活用が欠かせない要素と考えられます。トランプ政権の不規則な政策発動による市場のボラティリティ上昇は覚悟する必要がありますが、マクロ・金融環境自体は株式などのリスク資産にとって総じて追い風と考えます。

 

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