米国経済の例外的強さの正体
米国景気の強さの秘密は? ①移民増加が成長押し上げ
マクロ環境の見方で述べた通り、現在は米国景気の強さが世界でも際立っている状態です。ここまでの米国景気の強さは何に支えられたものだったのでしょうか。
右図は主要国の実質成長率を①人口要因と、②1人当たりGDP要因に分けたものです。米国は①、②のどちらも成長率の押し上げに寄与しています。
①人口要因に関しては、下段の日本と比較すると米国の優位性が顕著です。日本は人口減少局面に入っており、成長維持のためには生産性を伸ばす必要があります。一方、米国は移民の流入により人口が拡大しているため、プラス成長を維持しやすいというアドバンテージがあります。加えて、2021年に大統領が移民に強硬なトランプ氏からバイデン氏に交代した後は、移民受け入れ上限の引き上げ等の規制緩和等を受け、米国に流入する移民の増加ペースが加速したと見られます。2022年以降、成長率に対する①人口要因の寄与は大きくなっています。
ただ、中段のユーロ圏も同様に人口が拡大しており、成長率の押し上げ要因になっていました。欧州と米国の明暗を分けたのは、②1人当たりGDP要因です。米国は日本・欧州と異なり、人口が増えたうえ、1人当たりの消費/生産も伸びたため、特に強い成長になっていたことがわかります。
