マクロ経済スライドの仕組み
ここからは「マクロ経済スライド」という仕組みについてお話しします。 少子化は現役世代の保険料収入の減少につながり、高齢化は年金給付額の増加につながりますので、マクロ経済スライドは少子高齢化の影響を年金額に反映させる仕組みです。
下図はマクロ経済スライドの調整イメージを表したものですが、景気拡大期には賃金や物価が大きく上昇するので、マクロ経済スライドはそのまま適用されます。その後、景気後退期に賃金や物価の上昇がそれほど大きくない局面ではマクロ経済スライドをそのまま適用してしまうと年金額がマイナスとなるため、調整を部分的にとどめ年金額の改定は行われません。
さらに、景気回復期に再び賃金や物価が大きく上昇する局面で、それまでの未調整分と合わせてマクロ経済スライドが適用され、年金額の延びが抑制される仕組みになっています。この未調整分のことをキャリーオーバーと呼んでいます。
【マクロ経済スライドによる調整イメージ】
2025年度のマクロ経済スライドによる調整率は、「公的年金被保険者数変動率▲0.1%+平均余命の延び率を勘案した率▲0.3%」で計算され、▲0.4%となりました。ちなみに、マクロ経済スライドによって調整できなかった未調整分(キャリーオーバー)はありませんでした。
このようなプロセスを経て、2025年度のマクロ経済スライドによる調整後の年金額が下図のように決定されました。
【2025年度の年金額改定率】