毎年1月になると翌年度の年金額が公表されますが、2025年度は3年連続の上昇となりました。
2025年度(2025年4月~2026年3月)に老齢基礎年金(満額)は月額69,308円(前年度比+1,308円)、昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額)は69,108円(同+1,300円)で決定されました。老齢基礎年金は偶数月の原則15日に前月までの2カ月分が支給されますので、2025年6月に支給される4月分と5月分からこの金額が適用されます。
今回は、年金額がどのように決定されるのかご説明したいと思います。
老齢基礎年金の年金額
国籍に関わらず、わが国に居住している20歳以上60歳未満のすべての人は、毎月「17,000円×保険料改定率」(2025年度:17,510円)の国民年金保険料を40年間納付すると、65歳から老齢基礎年金として「780,900円×改定率」が亡くなるまで受給できる仕組みとなっています。仮に40年間、賃金や物価水準が変わらないとすれば、10年あまりで元が取れる計算になります。
しかし、賃金や物価水準は変動するため、国民年金保険料は名目賃金変動率によって、老齢基礎年金額は名目手取り賃金変動率、或いは物価変動率によって毎年度改定されることで、ある程度はインフレにも対応できるようになっています。
2025年度の老齢基礎年金額については、下記のように決定されました。
老齢基礎年金額(満額)
=780,900円×1.045×1.019÷12月
=月額69,308円 (前年度比+1,308円)
【老齢基礎年金の年金額推移(新規裁定者)】
では、年金額について、どのように改定されるのか、もう少し詳しく説明することにしましょう。
年金額は65歳から67歳に到達する年度まで(新規裁定者)と、68歳に到達する年度から(既裁定者)では計算方法が異なります。
67歳到達年度以前の新規裁定者は、まだ現役を引退してから間もないので「名目手取り賃金変動率」をベースに年金額が計算されます。一方、68歳到達年度以後の既裁定者は「名目手取り賃金変動率」か「物価変動率」のいずれか低い方を基準に年金額が計算されます。
2025年度の年金額の計算に使われる2つの指標は、以下のように名目手取り賃金変動率が+2.3%、物価変動率が+2.7%と決定されました。
①名目手取り賃金変動率
=実質賃金変動率▲0.4%(2021年度~2023年度の平均)+物価変動率2.7%(2024年の値)+可処分所得割合変化率0.0%(2022年度の値)
=+2.3%
②物価変動率
=+2.7%(2024年の値)
そして、下図のように「名目手取り賃金変動率」と「物価変動率」の組み合わせにより、年金額は改定されます。赤枠で囲ったものが2025年度のイメージになります。
【年金額の改定イメージ】