売上は堅調も利益の変動が大きい 今期は営業増益48%を計画、進捗は?

次に業績を確認しましょう。

ニデックは売り上げを順調に伸ばしています。直近の2024年3月期までに5期連続で増収し、過去最高を更新しています。

一方で、利益の変動は大きめです。2020年3月期は2期連続の減益となり、2023年3月期も利益を減らしています。減益は構造改革費やトラクションモータの先行投資費用などが要因です。また2020年3月期は、競争法上の対応から子会社の譲渡損を計上したことも影響しました。

直近の2024年3月期は一転して大幅な増益でした。増益率は営業利益で63%、純利益では179%(前期比2.8倍)に達します。トラクションモータ事業で構造改革費598億円を計上しながらも、原価や売価の改善と為替差益が利益を押し上げました。

 
出所:ニデック 決算短信より著者作成
 

製品グループ別の利益は家電・商業・産業用の伸びが顕著です。車載はトラクションモータ事業で先行投資や構造改革費などがかさみ、2024年3月期まで2期連続の営業損失となっています。

 
出所:ニデック 決算短信より著者作成
 

今期(2025年3月期)は増収増益の計画です。第1四半期の上方修正後で売上高は6.5%の増収、営業利益および純利益は48%超の増益を見込みます。なお、上方修正の引き上げ幅は売上高で1000億円、営業利益で100億円、純利益が200億円です。

【ニデックの業績予想(2025年3月期)】

・売上高:2兆5000億円(+6.5%)
・営業利益:2400億円(+48.3%)
・純利益:1850億円(+48.6%)

※()は前期比
※同第3四半期時点における同社の予想

出所:ニデック 決算短信

今期は第3四半期まで決算を公表しています。売上高および営業利益は、第3四半期累計期間として過去最高を更新しました。主力の精密小型モータは前年同四半期比で49.3%の営業増益でした。水冷モジュールといった新分野が好調だったようです。家電・商業・産業用は同0.9%、車載は同2.7%の営業増益となっています。

通期予想に対する進捗率は売上高が77.8%、営業利益が73.1%、純利益が72.8%です。消化はおおむね順調といえるでしょう。