モータの総合メーカー、HDD用は世界シェア8割 注力の「E-Axle」が黒字化

まずは概要と事業の内容から押さえましょう。

ニデックはモータの世界的な総合メーカーです。電子機器に用いられる精密小型のものや、船舶や風力発電といった産業用の超大型のものまで、さまざまなモータを製造しています。現在の社名は、2023年4月に従前の日本電産から変更されました。

主力製品の1つがHDD(ハードディスクドライブ)用のモータです。1980年代にHDD採用のPCが発売されると需要が拡大し、ニデックの成長を支えました。現在、ディスクを回転させるスピンドルモータでは世界シェア80%を握ります。

ほかにも、自動車のパワーステアリング用モータや家電向けモータなど、世界シェア首位の製品を多数持っています。モータ以外の製品も規模が大きく、産業ロボットや検査装置といった機器装置でも市場シェアは高水準です。

【ニデックの製品グループ別の業績(2024年3月期)】

 
出所:ニデック 決算短信
 

ニデックが注力する製品の1つがトラクションモータ(E-Axle)です。EV(電気自動車)向けの製品で、駆動モータやインバータ、減速機などを1つに組み合わせています。ガソリン車のエンジンに相当する基幹部品で、2019年にニデックが世界で初めて量産化に成功しました。

ニデックは2024年3月期にトラクションモータの第2世代を投入し、第1世代からの置き換えを進めました。その結果、EVトラクションモータ事業は同第1四半期に黒字化を達成します。通期では構造改革費の計上などから赤字の着地となりましたが、今後は利益の貢献が期待できるかもしれません。