倒産件数が急増している地域は?

東京と地方では経済規模が異なる。倒産動向に違いはあるのだろうか。調査によれば、最も倒産件数が多かったのは「関東」で3442件。ただし増加率は前年比で12.3%増と全地域の増加率の平均を下回っている。

逆に大きく上回るのは、北陸(34.0%増)、東北(28.4%増)、四国(25.0%増)、中国(24.1%増)など。いずれも人口減による地方経済の縮小などが懸念される地域だが、特に北陸は地震や豪雨の影響もあるだろう。また東北は東日本大震災が起きた2011年の倒産件数(446件)を超える結果になった。

出所:帝国データバンク 「全国企業倒産集計2024年報」

「飲食店倒産」はコロナ禍を上回る

続いて倒産動向を見ていこう。まずは私たちにもなじみの深い「飲食店」。2024年の倒産件数は894件と2000年以降で最高を記録した。コロナ禍の2020年に記録した780件をも上回る件数だ。業態別では、「酒場、ビヤホール」(212件)、「中華料理店、その他の東洋料理店」(158件)、「西洋料理店」(123件)と続き、いずれも過去最高だった。

飲食店の場合、原材料や光熱費などの上昇、人手不足から人材獲得のための賃上げなど、度重なるコスト負担が重荷になり記録的な倒産件数になったと考えられる。加えて物価高騰による個人の節約志向や店舗間の競争激化もあって、価格転嫁も容易ではない。ある程度規模が大きければ、スケールメリットを活かしたコスト削減などで採算が改善できるかもしれないが、飲食店の大半は小規模事業者。今のところこうした逆風が劇的に変わる気配はなく、飲食店の倒産件数はしばらく高水準が続くかもしれない。

出所:帝国データバンク 「全国企業倒産集計2024年報」