保護主義vsリバタリアニズムの行方

最近、70年近く前に書かれたアイン・ランドの小説『Atlas Shrugged』(邦訳『肩をすくめるアトラス』)を読んだ。この小説では、画期的な新合金が産業構造を大きく変えるが、既得権益層がそれに反発し、政治的な力を使って新合金を厳しく規制する。その結果、経済が停滞し、最終的には破綻してしまう。小説の底流には、規制を徹底的に排除しようとするリバタリアニズムの思想がある。

このリバタリアニズムは、FRB元議長アラン・グリーンスパンやスティーブ・ジョブズも支持していたとされる。そしてイーロン・マスクが提唱する「メリトクラシー(能力主義)」とも共通する部分がある。

トランプ大統領は保護主義者というイメージが強いが、リバタリアニズム的な側面も持ち合わせていると言われている。そのため、日本製鉄によるUSスチール買収が再び議題に上がった場合、トランプ政権下では実現する可能性があるのではないかと個人的には考えている。