タバコの警告表示に学ぶ、“伝わる”伝え方とは
かつてタバコのパッケージには、端のほうに小さな文字で「喫煙はあなたの健康を損なう恐れがあります」といった注意書きが書かれていた。しかし、それを意識して読む人はほとんどおらず、多くの喫煙者にとっては“空気のような存在”だったのではないだろうか。
ところが規制が厳しくなるにつれて、いまやパッケージの大半を使った大きな警告表示が当たり前になり、「肺がん」や「その他健康被害」という具体的なリスクを嫌でも認識せざるを得なくなった。
一方、金融商品のリスク表示はどうだろう。市況リスク、信用リスク、為替リスク……といった要素ごとに分けて記載はされているものの、資料やパンフレットにはびっしりと専門用語が並び、TVCMでは最後のわずかな時間に「ディスクレーマー」が映し出されるだけ――実際どれほど伝わっているのかは疑わしい。本来はきわめて重要な情報が、まるで空気のように扱われてはいないだろうか。