今後はREITのようにお金を借りるビジネスは相当きつくなるでしょう。おまけに、アメリカの不動産物件を持っているREITはちょっとした危機に直面しています。会社に従業員が戻ってきておらず、オフィス空室率が増えている。場合によっては2025年にはテナントの解約から、家賃収入が入ってこなくなるかもしれない。

その状況で金利の費用が思ったほど下がらないとなれば、2025年は相当厳しくなるはずです。

今回のFOMCは商業用不動産の領域に直撃しました。今後、不動産の売却やテナントの返上が加速すれば、REITの下落はトレンドになる恐れもあるでしょう。

事実5つの銘柄は12月19日も2%程度下落しています。言うなれば、ここから始まったアメリカのマーケットの小さな危機と言えるかもしれません。

もちろん、S&P500 やナスダックなど、アメリカ全体が崩れることはそれほど考えられません。しかしながら、金融危機が起こる前年2007年に起こったアメリカの不動産バブル崩壊では、最初に下がり始めたのはREITでした。私はREITが発しているメッセージは市場への一つの警鐘ではないかと受け止めています。

 

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岡崎良介氏 金融ストラテジスト

1983年慶応義塾大学経済学部卒、伊藤忠商事に入社後、米国勤務を経て87年野村投信(現・野村アセットマネジメント)入社、ファンドマネジャーとなる。93年バンカーストラスト信託銀行(現・ドイチェ・アセット・マネジメント)入社、運用担当常務として年金・投信・ヘッジファンドなどの運用に長く携わる。2004年フィスコ・アセットマネジメント(現・PayPayアセットマネジメント)の設立に運用担当最高責任者(CIO)として参画。2012年、独立。2013年IFA法人GAIAの投資政策委員会メンバー就任、2021年ピクテ投信投資顧問(現・ピクテ・ジャパン)客員フェロー就任。