ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋の2024年11月のトップは5月以来、「iFree S&P500インデックス」が君臨している。第2位と第3位は「つみたて先進国株式」、「大和ストックインデックス225ファンド」で9月と同じだった。第4位には「つみたて全世界株式」が浮上し、第4位だった「つみたて日本株式(TOPIX)」は第7位に後退した。また、「JP4資産バランスファンド 安定成長コース」が第9位から第6位にジャンプアップした。

 

◆ゆうちょ銀行・郵便局で根強いバランス型ファンド人気

ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋ファンドトップ10は、代表的な株式インデックスファンド5本と、バランス型ファンド5本に二分されている。トップ10に並ぶファンドの顔ぶれはおおむね変わらず、その順位のみが変動している。トップの「iFree S&P500インデックス」は5月から変わらずトップを維持している。米国「S&P500」指数は、11月に史上最高値を更新し、日欧や新興国の株式市場を上回る高パフォーマンスになっている。投信市場の一部では「『S&P500』のインデックスファンドにさえ長期投資していれば、資産運用で困ることはない」というような安心感さえ生まれている。

ただ、長い資産運用の歴史を振り返ると、「米国株式」といった特定の資産が10年を超えるような長期にわたって他の資産を大きく上回る高パフォーマンスを継続したという例はない。資産別のパフォーマンスの順位は、通常は毎年入れ替わる。だからこそ、中長期の資産形成をめざすのであれば1つの資産に集中して投資するよりも、株式や債券、REIT(不動産投信)など幅広く分散投資することの意義が知られている。ゆうちょ銀行の売れ筋トップ10の半数をバランス型ファンドが占めているのは、このような資産運用の基本に沿った動きといえるだろう。

ゆうちょ銀行の投信サイトでは、分散投資を徹底する意図が明確に伝わってくる。「初めてのNISAは投資信託から」と紹介するページで投資信託のリターンを示すグラフに「国内株式」「外国株式(先進国株式)」「国内債券」「外国債券(先進国債券)」の4資産に均等配分で投資した仮想ファンドのパフォーマンスを示している。リスクを抑えて安定的な運用収益を追求するというのが、ゆうちょ銀行・郵便局の投信窓販では強く伝わってくる。売れ筋トップ10でバランス型ファンドが半数を占めるのは、ゆうちょ銀の大きな特徴にもなっている。

現在の売れ筋ランキングで第5位に入っている「JP4資産均等バランス」は、過去1年間のトータルリターンが12.31%で、リスク(標準偏差)は8.07%だ。2ケタのリターンを確保しながら、リスクは1ケタ台という運用効率(とっているリスクあたりのリターン)の高い運用成績になっている。株式インデックスファンドの「iFree S&P500インデックス」は、トータルリターンが36.44%、リスクは15.43%だ。高いリターンが得られているがリスクも2ケタとなっている。年間で15%もの下落には耐えられないという投資家は敬遠するだろう。ただ、運用効率そのものは「JP4資産均等バランス」よりも良い成績(とっているリスク当たりのリターンが大きい)であるため、売れ筋としての順位も高いと考えられる。