◆国内株式インデックス、なぜ「TOPIX」より「日経225」?

「つみたて日本株式(TOPIX)」の順位が第7位にまで下がった。国内株のインデックスとして「TOPIX」と同じように代表的な「日経平均株価(日経225)」に連動する「大和 ストック インデックス225ファンド」が第3位をキープする中で、「TOPIX」が大きくランクダウンしたのはなぜなのだろう。単純にパフォーマンスだけをみると、トータルリターンは1年(「TOPIX」は15.34%、「日経225」は14.06%)、3年(同49.06%と37.41%)、5年(76.35%と63.13%)のいずれの期間でも「TOPIX」が優位だ。成績の良い「TOPIX」の人気が衰え、「日経225」が人気を保っている。

「TOPIX」に連動するファンドがパフォーマンスが良いにもかかわらず人気が衰えているのは、将来的な価値が「TOPIX」よりも「日経225」の方が上にあるという見方があるためだろう。その背景にあるのが、2023年3月に東京証券取引所が上場企業に出した要請によって進展してきた企業価値向上への取り組みがあると考えられる。当時、東証上場の過半を占めていた「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業」に対して株価の評価を高める取り組みを東証が求めた。その結果、多くの企業が株主価値の向上に向けた取り組みを強化した。中には東証の要請に応えていない企業もあり、応えた企業でも自社株買いや増配、あるいは、中期経営計画の発表など各社各様の取り組みになっている。求められるのは中長期的な企業価値向上だが、各企業の置かれている状況によって、その取り組みの成果が必ずしも中長期の企業価値向上に結び付かないものもある。

企業価値の向上を目指して真剣に努力をしている企業もあれば、業績が悪くて将来価値の向上に向けた努力ができないところ、あるいは、計画だけは立ててもその実行力が伴わない企業など、今後は企業間格差が広がっていくことが見通される。「TOPIX」は旧東証1部上場銘柄を軸にプライム上場銘柄の2100社以上の企業を全て投資対象にしている。これに対し、「日経225」は国内を代表する225銘柄に絞られている。「TOPIX」は今後の指数見直しによって、構成銘柄数を約500銘柄削減する方針が示されているが、それでも1500銘柄程度で構成される指数ということになる。企業の優勝劣敗が明らかになるであろう環境を前にして、1500もの構成銘柄では個々の企業価値の品質をキープすることは難しいとみられているのだろう。「TOPIX」の人気離散が一時的なものか、トレンドとして継続するものか注意してみていきたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩