モデル世帯ではなくて私の受取額は?
今回の財政検証では、モデル世帯の金額に加えて、もう少し現実的な仮定を置いた試算も行われています。特に、モデル世帯の「40年間専業主婦」だと当てはまらない方が多いと思いますので、女性も働く前提での金額を見るのが役に立つと思います。
現実的な仮定を置いた計算では、2024年度に65歳の人(1959年生まれの人)の受取額は、男性で平均14.9万円、女性で平均9.3万円と計算されています。現在30歳の人(1994年生まれの人)が年金を受け取る65歳の時点では、「成長型経済移行・継続ケース」においては男性で平均21.6万円、女性で平均16.4万円、「過去30年投影ケース」でも男性で平均14.7万円、女性で平均10.7万円を受け取れると試算されています。これも単に数字の一例にすぎませんが、独身の方はこの数字の方がイメージに合うと思いますし、共稼ぎ世帯でもこの男女を合計したほうがモデル世帯よりもイメージに合うと思います。
また、働き方・暮らし方や給与水準は人それぞれですので、平均で見るよりも、ご自身の受取額をシミュレーションするほうが役に立ちます。厚生労働省の公的年金シミュレーターを使って無料で簡単に試算できますので、そちらで水準感を確認するのがいいと思います。ただし、公的年金シミュレーターの試算結果は、あくまで簡易的なものであり、将来の経済前提までは考慮されていません。将来の経済によって年金受取額がどれだけ上下するかは働き方・暮らし方や給与水準によっても異なりますが、このコラムを読んだ方であれば、「マクロ経済スライド」で受取額を一律「2割」減らして考えるのはやりすぎかもとご理解いただいたと思います。もし少し控えめな受取額をイメージしたい場合であれば、例えば結果を5%減らして考えてみるといいかもしれません。そして、ご自身の実現したいセカンドライフに合わせて、どれくらい資産形成で賄うかをイメージするとよいでしょう。
【参考文献】
・公的年金財政検証(厚生労働省)
・公的年金シミュレーター(厚生労働省)
・年金コンサルティングニュース2024年7月臨時号(三井住友信託銀行)