住居形態別に生活満足度をみる

続いては、直近3年以内の住み替えを踏まえた住居形態別の生活満足度を見てみます【図表2】。結果を見ると、住み替えを行っている層は、総じて5年後の生活満足度への期待値が高い傾向がありました。また、個別に見ると直近3年以内に「賃貸→持ち家」に住み替えた「念願のマイホーム取得層」が、現在・5年後ともに生活満足度が最も高い結果となりました。その一方で、マイホーム取得層の未来の姿となる「住み替えなし(持ち家)」層の値を見ると、現在・5年後ともに、思い描くほどの生活満足度になっていないシビアな現実も確認できました。マイホームを新たに取得することで足元の生活満足度として大きな効用があることが推察されますが、その高揚は長期的に続くものではないといった側面も同時に見えてくることとなりました。

【図表2】住居形態別生活満足度

*回答者:現在の住まい「持ち家(自己所有)」「賃貸」 *過去の「持ち家」については、自己所有のみに限らない

賃貸派・持ち家派の生活満足度は年代によってどう変わる?

最後に、過去3年間で住まいを替えず、今後3年間も住み替え予定のない、「ずっと賃貸派」と「ずっと持ち家派」の2グループの生活満足度が、年代によってどのような変化があるのかを分析しました。すると、双方20歳代では同水準であるものの、「ずっと賃貸派」では年代が上がるにつれて生活満足度が僅かに減少していることがわかりました。その一方で、「ずっと持ち家派」では、年代が上がるにつれて生活満足度が向上しており、両者を比較した際に、逆の動きとなりました。住居形態によらない年代別の生活満足度では、20歳代と60歳代で生活満足度が高いことがわかりましたが、住居形態を踏まえた年代別の生活満足度ではまた、異なった傾向となることも分かりました。

この結果から、年代が上がり退職後の生活に対する解像度があがるほど、自己所有の住まいがある安心感は、生活満足度を下支えする一つの要素となり、「ずっと持ち家派」では年代が上がるにつれて、生活満足度が高くなったと推察することもできるかと思われます。

【図表3】住居形態と年代別生活満足度

*今後もずっと賃貸:現在の住まいが「賃貸」かつ、過去3年で住み替えしておらず、今後3年も住み替え予定はない
*今後もずっと持ち家:現在の住まいが「持ち家」かつ、過去3年で住み替えしておらず、今後3年も住み替え予定はない

居住形態は、各々のライフプランやライフスタイルなどによって異なる部分ですが、その居住形態が生活満足度に与える影響をみてみると、年代によって異なる特徴があることがわかりました。

とはいえ、生活満足度に影響を与える要素は居住形態だけ、ということでもなさそうです。次回のコラムでは、生活満足度を高める重要な要素について解説していきたいと思います。

●住居形態だけで生活満足度は決まるわけではありません。次回記事【重要なのは「どんな住まいを選ぶか」だけではない! 生活満足度が高い人が実践している“前準備”】では、「住居形態以外」で生活満足度に影響を与える要素を詳説します。