三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年11月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の資金流入額ランキングでトップに立ったのは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(流入額1683億円)、だった。前月トップの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(同1587億円)は第2位に後退し、第3位は前月同様に「アライアンスB・米国成長株投信 D」(同1022億円)だった。トップ3は3銘柄ともに前月よりも資金流入額が増額し、月間で1000億円以上の資金流入額となった。一方、前月はトップ20に日本株ファンドは1本も入らなかったが、11月も第17位に「日経225ノーロードオープン」が入るのみにとどまった。米国株式を主軸においた一部の銘柄に人気が集中する動きが続いている。

 

◆人気投信に資金集中? 10カ月間の「オルカン」「S&P500」の動き

資金流入ランキング上位銘柄に資金が集中してきている。過去3カ月の資金流入額の推移は、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」で9月1204億円が、10月1342億円、11月は1683億円と拡大。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」も9月1468億円が10月1493億円、11月は1587億円。「アライアンスB・米国成長株投信 D」も9月635億円が10月721億円、11月は1022億円となり、それぞれ資金流入額が月を追うごとに増額している。

月次の資金流入額では、今年1月に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が3439億円を記録し、同月に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は2090億円で第2位だった。この爆発的ともいえる資金流入によって新NISAのスタートにあたって、NISAで資産形成するファンドとしてこの2銘柄が多くの投資家に選ばれたことが象徴的にわかる出来事だった。その後、両ファンドには月間で1500億円~2000億円程度の資金流入が続き、7月には「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が2239億円、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は1999億円、また「アライアンスB・米国成長株投信 D」には1675億円の流入という2度目のピークを迎えた。

8月は一転して資金集中度が分散する。月間の資金流入額は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が1520億円、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は1181億、「アライアンスB・米国成長株投信 D」が795億円になった。このトーンダウンは9月ごろまで続き、10月以降に再び徐々に盛り上がるという軌跡だった。ここ数年というもの、資金流入の中心は「外国株式型(先進国株式)」になっている。その「外国株式型」の中で、特定のファンドに資金流入が集中する時と、分散する時が周期的にやってきている。年末を控えて再び資金が集中化し始めた。その資金が集まる先は、今回は「米国株式」が中心になりそうだ。米国では新年には大統領が交代し、これまでとは大きく異なる政策を実行しようとするだろう。「米国株式」への集中がどこまで続くのか見極めたい。