ここまで、過去3年以内に住み替えた方(実態面)、今後3年以内に住み替えを予定している方(意識面)について解説してきました。今回は少し視点を変えて、過去3年以内にも、今後3年以内にも住み替えない(予定もない)方に、焦点を当ててみていきたいと思います。

●前回記事:【50代・60代は老後の住まいをどう考えている? 「持ち家への住み替え」を選択する人の最大の動機は…】

「当面住み替えない」はどれくらい?

今回ミライ研で実施したアンケート調査では、時系列として、過去の住まい(3年前)・現在の住まい・未来の住まい(3年後までの予定)について伺うことで、その間の住み替えを含む住居形態の変化を捉えることができるような構成としています【図表1】。

【図表1】住み替えの選択に関する時系列調査の概要(再掲)

*過去・未来における「持ち家」については、自己所有のみに限らない

ここまで、「過去3年以内に住み替えを行った方」、「今後3年以内に住み替えを予定している方」に触れてきましたが、反対に過去も住み替えず、今後も住み替える予定のない方については、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。その割合について、過去から未来への時系列における住み替えの選択状況を、年代別に見てみましょう【図表2】。

「過去は同じ住まい、今後も同じ住まいを予定」と回答している、過去も今後も住み替え(予定)なしの方の割合は、20代(18歳-29歳)では、34.9%と最も低く、30代で50.0%、40代で、66.4%、50代以降は80%超と、これまでの住み替えコラムで見てきたグラフより30代~50代での傾斜が大きいものとなりました。

【図表2】年代別 時系列における住み替えの選択状況

*回答者:現在「賃貸」・「持ち家(自己所有)」の居住者
(出所)特に出所を示していない場合、三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2024年)よりミライ研作成

20代では卒業や就職、結婚等を経て、過去3年間・今後3年間のどこかで住み替えを行う可能性が高くなっていることはこれまでのコラムからも同様の傾向となりました。一方、50代では打って変わって、過去も今後も住み替え(予定)なしと回答している方の割合が一段と増加し、以降はその増加率も一定となっています。反対に30代では過去も今後も住み替え予定のない方と、そうでない方(過去か今後で少なくとも1度は住み替えを行った、もしくは予定している方)で割合が半々となり、その後40代では、住み替えをしない方が15%程度増加しています。この調査結果から、基本的には30代~40代にかけて50代以降を長期的に見据えて居住環境を固めていこうとされている方が、全体としては多いということが推察できます。