住み替えない理由は?

長期的な住居選択における転換点となりそうな年代の30代・40代の方で、過去も今後も住み替え予定のない方は、どういった理由で住み続ける選択をされているのでしょうか。現在の住居形態を「賃貸」「持ち家(自己所有)」に分けて、その理由について伺ってみました【図表3・4】。

30代での住まいの理由は、賃貸・持ち家の方に限らず「住環境」や「家族構成の変化」が上位になっていますが、特徴的なのは、持ち家にお住まいの方の理由、第1位が「終の棲み処と考えた」(22.2%)とっている点です。40代での結果も30代同様、持ち家にお住まいの方の理由、第1位は、「終の棲み処と考えた」(26.0%)となり、回答者のうちおよそ5人に1人が、30代の時点から現在の住居を、最後の住まいと考えているということがわかりました。

公開済みのレポート「令和の住み替え事情-住まいの高額化時代における選択は?-」の中では、過去3年以内に住み替えを実施した方や、今後3年の間に住み替えを予定している方に、その住み替え理由を伺っています。その結果と比べても、住み替え予定のない30代・40代の方が、現住居を「終の棲み処」と考えている割合は、10%近く高くなっており、早いうちから住まいを長期的に捉える意識が高くなっている様子がうかがえました。

【図表3】<住み替え(予定)なしベース>30代の現住居の理由 回答者:729人

*回答者:過去3年は同じ住まい、今後3年も同じ住まいを予定している方 
*教育環境:通学面、受験面 *勤務先への通勤:就職・転職・異動 住居費:賃貸→家賃・共益費 持ち家→住宅ローン返済費・管理費・修繕積立金など

【図表4】<住み替え(予定)なしベース>40代の現在の住まいの理由 回答者:1,268人

*回答者:過去3年は同じ住まい、今後3年も同じ住まいを予定している方
*教育環境:通学面、受験面 *勤務先への通勤:就職・転職・異動 住居費:賃貸→家賃・共益費 持ち家→住宅ローン返済費・管理費・修繕積立金など

ここまで全3回で「住み替え」をテーマとして、住み替えを行った方、住み替えを予定している方、住み替えない方を軸に住まいの選択状況を見てきました。調査結果からは、各年代において生じる「目の前にあるライフイベント」にどう対応していくかという現実的な目線から、自身にとっての住居形態に向き合っていることが伺えました。

何を重視し、何を優先するかは極めて各人の判断に委ねられる部分ですが、本コラムが、人生100年時代における「我が家の形態に合った住まいのあり方」の吟味・検討の際の一助になれば幸いです。