「心」で真摯に顧客と向き合う金融機関は高評価を獲得

一方、今回の調査結果で特に高評価を得たのは、「りそな銀行、イオン銀行、大和証券の3社だった」と山中氏は明かす。

りそな銀行は早くからiDeCoをはじめとする積立投資サービスに力を入れ、もともとその取り組みには定評がある。「実際に相談を受けてみると、担当者がしっかり勉強をしてiDeCoの相談業務に臨んでいることがよく分かり、安心感を覚えました」(山中氏)。

イオン銀行では、適時メモを添えたりして分かりやすく解説する工夫をしたりしていて、顧客との丁寧なコミュニケーションに配慮する姿勢に好感が持てたという。

「りそな銀行については、『担当者はiDeCoの知識についてよく理解した上で、かみ砕いて説明してくれたように思った』と、調査にあたったFPが話していました。また、イオン銀行には平日夜間の時間帯や土日でも顧客が相談に訪れるので、さまざまなタイプの顧客との対面に慣れていて、そこが強みなのではという印象を持ちました」(山中氏)。

大和証券の場合は、iDeCoについて手堅く説明する姿勢が感じられ、「iDeCoの知識や説明が正確で、間違ったことを言わないよう、一つひとつ気をつけながら説明しているように見受けられました」と山中氏は評価する。

以上の3社に共通しているのは、「顧客に対して真摯に、心から向き合っている姿勢」だと山中氏。「総じて高評価だった金融機関は、企業の方針としても早くからiDeCoに力を入れているところが多かったようです。また、顧客に対し、ちょっとした気遣いのある声掛けをするなど、担当者に心配りがあるように感じられました」。

今回の覆面調査の結果をレポートにまとめて公表したところ、金融機関や個人、メディアなどから少なからず反響があったという。

「今回は私たちFP相談ねっとが金融機関の調査・評価を行いましたが、これからは国が先陣を切って大々的に調査・評価を実施できるようになれば、好影響を与えると思っています。iDeCoは税制優遇が優れた資産形成の仕組みですが、サービスは金融機関により異なります。調査をきっかけに多くの金融機関が切磋琢磨し、iDeCoを積極的に提案できるようになればと心から願っています」(山中氏)。

iDeCo加入検討者は金融機関とどう向き合うべきか?

では、iDeCo加入を検討している方は、どんな金融機関を選ぶべきなのか。「今回の調査を見てご理解いただけたと思いますが、『どの金融機関のiDeCoに加入しても同じ』ではなく、iDeCoに真摯に取り組んでいる金融機関を選ぶことが大切」だと山中氏は話す。

そうしたiDeCoに注力している金融機関を選びたいのなら、勇気を出して、まずは窓口に出向くことも必要だという。

「例えば、店頭の目立つところにiDeCoののぼり旗やチラシなどがあれば、その金融機関はiDeCoに力を入れていることが分かります。もちろん、窓口の担当者から話を聞いて、質問に的確に答えてくれるかどうかを判断することも大事です」(山中氏)。

ただし、「気に入ったから」といってすぐに金融機関を決めるのは禁物。「複数の金融機関を比較した上で選ぶことを怠ってはいけない」と山中氏は忠告する。

「老後資金作りという長期の資産運用にはアドバイザーが不可欠。担当者との相性やサービスの使いやすさなども比較、チェックしておきたいところです。また、iDeCo専門のコールセンターに電話をして、分からないことを質問してみるのもよいでしょう。まずはいろいろなチャネルを使って話を聞いてみて、自分に合った金融機関を探し出すことが重要です。適切なアドバイスの必要性は、すでにiDeCoに加入している、あるいは会社で確定拠出年金に加入しているという方も同様です。今回の調査は銀行を中心とした金融機関でしたが、他にも確定拠出年金に強いファイナンシャルプランナーも頼れるお金のアドバイザーとして選択肢の一つとなるでしょう」。

節税しながら老後資金を貯められる私的年金制度として、注目を浴び続けているiDeCo。加入を検討する際には、複数の金融機関またはファイナンシャルプランナー等に積極的に相談するなどして情報を収集し、その担当者の「姿勢」を判断することが大切と言えそうだ。

※調査結果の詳細については、「FP相談ねっと」のホームページに公開されている「iDeCo調査隊レポート」をご参照ください。

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