投資信託会社が倒産しても財産は守られると言われているのも「信託」が存在するから
信託口とは、簡単に言うと“信託業務を営む銀行が、顧客の資産を管理するために開設している口座”です。
信託業務を営む銀行は、かつては信託銀行に限定されていましたが、今は規制が緩和され、普通銀行でも信託業務を併営できるようになっています。
信託とは、自分が持っている財産を、信頼できる第三者に預けて運用・管理してもらう制度のことです。
たとえば、自分が持っているお金を信託して運用・管理してもらう「金銭信託」や、遺言者が作成した遺言を保管・管理し、遺言者が亡くなった時、遺言書に従って遺言対象資産を相続人に配分する「遺言信託」が、個人向け信託サービスの代表格といっても良いでしょう。
また、新NISAで注目を集めている投資信託も、信託の制度を活用した金融商品のひとつです。
投資信託の場合、投資信託会社(アセマネ会社)が、販売金融機関を経由して個人から集めた金銭の委託者となります。信託銀行は受託者として、その金銭を管理するのと同時に、投資信託会社からの指示に従って株式や債券の売買を証券会社に発注します。
そして買い付けた株式や債券は、信託業務を営む金融機関の名義で保管・管理されます。「投資信託は販売金融機関や投資信託会社が倒産しても、投資信託の信託財産は差し押さえられない」と言われるのは、このように信託業務を営む金融機関によって、信託財産が全額管理されているからです。
しかも、投資信託の信託財産は、信託業務を営む金融機関自身の資産から分離された「分別管理」が徹底されているため、信託業務を営む金融機関が倒産したとしても、投資信託の信託財産は保全されます。投資信託は、投資信託会社という法人による金銭の信託なのです。