IR情報や四季報に載っている「大株主欄」でよく見る「信託口」
投資したい会社を知ろうとする時、まず何からチェックしますか。
一番多いのは「業績」でしょうか。売上高や利益が過去、どのくらいのペースで伸びてきたのか、今後の予想はどうなのかは、株価に大きく影響するので、真っ先にチェックする人は多いはずです。
次は「バランスシート」でしょうか。いわゆる財務情報です。資産、負債のバランスの良しあしは、経営の持続性を判断するうえで重要です。
それ以外にも、たとえば会社四季報などを開くと分かるのですが、企業、とりわけ上場企業は、自社の経営に関するさまざまな情報を、投資家に対して開示しています。会社四季報の紙版は、物理的に掲載できる情報が限られてはいるものの、それでも丁寧に読んでいくと、非常にたくさんの情報量が詰め込まれていることに気付くと思います。
その中のひとつで、あまり株価には影響しないだろうという先入観から、さほどチェックしないのではないかと思われるのが、「株主構成」です。
会社四季報の株主構成は、株主名簿上位10位の構成と、主要投資家の持株比率が記載されています。主要投資家の持ち株比率は、「外国人投資家」、「投資信託」、「浮動株」、「特定株」が、それぞれ何パーセントなのかを示したものです。
ところで、株主名簿上位10位を見ると、多くの企業で「信託口」という株主が上位を占めていることに気付かれると思います。「なんだろう?」と思う人も多いのではないでしょうか。
「株主」というと、個人名が記載されているのかと思いきや、決してそんなことはありません。上場企業でも、オーナー色の強いところや、いわゆる中小型株に含まれているような、経営規模の小さい企業になると案外、個人が大株主に名を連ねているケースはあるものの、大企業ともなると、個人の大株主が株主名簿の上位に来るケースは少ないようです。
たとえば最近、創業家による自社買収(MBO)と非上場化が報じられている「セブン&アイ・ホールディングス」の株主名簿上位10位は、次のようになっています。
1位 日本マスタートラスト信託銀行信託口(14.68%)
2位 伊藤興業(8.14%)
3位 日本カストディ銀行信託口(4.95%)
4位 ステート・ストリート・バンク&トラスト505001(2.83%)
5位 日本生命保険(2.02%)
6位 SMBC日興証券(2.00%)
7位 三井物産(1.86%)
8位 ステート・ストリートBウエストトリーティー505234(1.67%)
9位 JPモルガンチェース・バンク385864(135%)
10位 JPモルガンチェース・バンク385632(1.32%)
となっています。ご覧になれば分かるように、1位と3位が信託口です。