三菱UFJアセットマネジメントは9月20日、「eMAXIS/PayPay証券 全世界バランス」を新規設定しました。このファンドは、その名の通りPayPay証券専用で、9月25日からPayPay証券の特定口座もしくはNISA 成長投資枠で購入できます。

このファンドの最大の特徴は、投資初心者が不安に思うポイント、障害になることに対し、極力そのリスクを低減させている点。言い換えれば、投資初心者も「まずはこれ1本を積み立てれば十分」といえる設計になっている点です。新規口座開設の大半が投資初心者であるPayPay証券と、親和性の高さがうかがえます。

具体的には…

1.    ポートフォリオを組む手間が不要

一般的にポートフォリオの“妙“が資産運用の成否に大きく影響を与えると言われています。どのような資産をどのような配分で組み合わせるか……これを考えるのは経験者にとっては投資の楽しみになりえる反面、初心者にとってはハードルになっている現実も。

そこで、当ファンドは15資産※に独自の投資割合で分散投資。ポートフォリオやアセットアロケーションについて、これ1本で「お任せ」できるバランスファンドになっています。

なお、三菱UFJアセットマネジメントはじめ多くの運用会社から、バランスファンドは出ていますが、多くの場合、国内株・先進国株・新興国株・国内債・先進国債・新興国債・国内REIT・先進国REITの8資産が組み入れ対象。当ファンドは、これらに加え、NASDAQ100インデックスや超長期債など、サテライト的資産への投資を行っており、8資産よりも投資効率・期待リターンを狙う点も特徴的といえます。

また、合理的なアセットアロケーションで分散投資するという狙いであれば「ロボアド」も選択肢になりえますが、NISA枠内で考えると、リバランスのたびに投資枠を消費してしまうロボアドよりも、ファンド内でリバランスは完結しているバランスファンドのほうが、枠を効率的に使える点で有利といえます。
※2024年9月時点

2.円高リスクへの対応

一時160円まで円安ドル高が進んだ為替相場も、ここ数週間で140円台まで円高が進みました。円高方向に進めば、日本以外の資産(外貨建て資産)では、円建てで換算したときの評価額が下がり、結果的にファンドの基準価額も下がる……というのをこの数週間、目の当たりにしている投資家は多いはず。あるいは、再び円安に戻るまで投資しないほうがいいのでは? と二の足を踏む要因にもなっているかもしれません。

こうした為替による値動きリスクを抑えるために、当ファンドは一部に為替ヘッジあり資産を組み入れ。円高局面での基準価額下落を一定程度和らげる効果が狙えます。

 

こうした特色の結果として、当ファンドのリスク(ざっくりといえば、基準価額のブレ幅と認識してください)水準は年率10%程度を想定した設計に。オールカントリーやS&P500がその倍である20%ほどであることを考えると、「価格の急変が不安」といった初心者の声に寄り添うファンドといえそうです。

また初心者に限らず、8月5日の急落を体験して、「オールカントリー一択(あるいはS&P500一択)」から卒業し、少しポートフォリオをリッチにしたほうが良いのではないかと考えている個人投資家にとっても、当ファンドの目論見書を読むと、発見があるのではないでしょうか。

ただ、1つ注意点もあります。それはコスト。「eMAXIS/PayPay証券 全世界バランス」の信託報酬は0.99%で、1%を切っているとはいえ、既存のeMAXISやeMAXIS Slimシリーズに比べれば、いくぶん高いといえます。これは、先述の配分比率を算出する、また原則として月次で資産配分を見直す“お任せ”部分にかかるため……ですが、数十年単位の長期の投資を見据えたときに、とにかくコストを抑えたい、というニーズをお持ちの方にとっては、商品性が合わない可能性がある点には注意が必要です。