光熱費の削減は難しいが、食費は支出を抑えられる

支出の面で気付いたこととして、大きく変えられないものは光熱費でした。反対に削減しやすかったのは食費です。基本的に自炊にして外食はできるだけしない方針で支出を抑えました。

私はシングルファーザーなので食事を作ることに元々抵抗はないのですが、それでも意識して食材ロスを減らし、作り置きを活用し、調理に工夫を加えると、安い食材であっても健康に良いものをシンプルに美味しく作れることができると確信しました。こうして工夫した結果、食費にかかった金額は月平均5万円程度でした。

また、補足として、住宅ローンは年金受給前に完済を目指す方が多いと思われるため、今回は返済したものとして計算しました(実際には住宅ローンが残っているので、年金で不足する分は個人事業主の収入で支払っています)。また、子どもが独立しているため教育費はかかっていないことも付け加えておきます。

年金生活でもファイナンシャル・ウェルビーイングは実現できる

最初は18万円の年金で生活ができるのか心配していましたが、問題なく生活を送ることができました。そしてこれは大きな自信と安心につながりました。仮に個人事業主としての収入が途切れても年金だけで生活できるということが確認できたからです。

Indeed社の「『シニア世代の就業』に関する意識調査」によると、「働きたい」「働く必要がある」と回答した人は60代で約60%、70代では約41%です。シニア世代は意欲を活かして働くことで年金以外の収入も得られるので、それらを余裕資金に回すことができます。そうすると生活費は年金で補い、余裕資金を旅行や遊び、趣味など、自分が大切に思っていることに使うことができます。

「年金だけでも生活ができる」という自信は貴重です。不安はその実態を知らないことから生まれますが、年金の範囲で暮らす工夫を覚えれば、老後資金への過度な心配はなくなります。そうすると、老後は自分の価値観に基づき、本当に使いたいことにお金を使うことができます。

「ファイナンシャル・ウェルビーイング」はお金に関する幸せな状態と定義されます。今回の実験で自分が大切に思っていることにお金を使い、幸せを発見することができました。まさにこれはファイナンシャル・ウェルビーイングを実現したことになるのではないでしょうか。