公的年金だけでも生活できる! やりくりの中には楽しさも
結論です。年金で十分生活はできます。その理由は年金額の中で何とかしようと工夫したからです。
これを聞いた現役世代のみなさんは、素直な感想として「それは大変だったでしょう。我慢の毎日だったでしょうね」と思われたことでしょう。ですが、案外そんなことはありません。もちろん慣れるまでは試行錯誤しましたが、実際は我慢ばかりでなく多くの得難い気付きを得られたのです。
では年金だけで生活することで得られたメリットを列挙してみます。
・創意工夫する楽しさがあった
これまでの使いたいことに額を気にせずお金を使う発想から、決められた範囲の中でお金を使う考え方に変わりました。前者はあまり頭を使いませんが、後者は何とかやりくりしなくてはいけないので、知恵を絞るようになります。段々と創意工夫する面白みさえ出てくるようになりました。
私の場合は無駄遣いが収支のバランスを圧迫していたのですが、その癖にも気付いて改善することができました。
・何にお金を使うか、優先順位を考えるようになった
当然限られた金額の中で生活しなくてはいけないので、何にお金を使うか、その優先順位を考える習慣ができました。結果として自分が一番大切にすること、譲ることができないことからお金を使うようになりました。私の場合甘いもの好きなので、少し高めのケーキを時々買うことには優先してお金を使いました。その代わり衣服は新しく買わないなど工夫をしましたが、不思議とストレスはなく楽しく過ごせました。
・消費による幸せをより実感できるようになった
食事に関しては、これまであまり考えずよく外食をしていたのですが、努めて自分で料理をするようにしました。基本は自炊をし、たまに行きつけの飲食店で外食をしました。するとその店に行くことが今まで以上に楽しみになり、いつも注文して食べ慣れていたはずの料理がこれまでより格段においしく思えました。
・料理する楽しみができた
年金額の範囲で暮らすようにしてからは節約のため自炊することが多くなりましたが、レパートリーを増やすためにNHKの料理番組を見たり、食材を買うためにスーパーに行ったりするのが楽しみになりました。そして作ったものを子どもが美味しいと言って食べてくれるのでそれも励みになりました。
これらのメリットは言葉を変えると「今まで見えていなかった楽しさを見つけることができた」ということかもしれません。
それは「お金は大きく使わなければ大きな楽しみを得られない」という考え方から、「見逃していた小さなことに大きな楽しみ、幸せを見つけていく」という考え方に変わったということです。この考え方の変化によって本来持っていた自分の価値観や大切なこと好きなことがあぶり出されてきた、そんな印象を持ちました。