デジタル金融資産保有者の半数「家族は資産を引き出せない」 1億円以上の保有者でも4割に上る

デジタル金融資産を保有している人が亡くなり、相続手続きが必要となる場合もあるでしょう。手続きを進めるためには、残された家族がデジタル金融資産を自力で引き出せなくてはなりません。しかし調査結果では、デジタル金融資産について「遺族があなたのデジタル金融資産を引きだせると思いますか?」と質問したところ「家族が引き出せない」と回答した人が約半数に上りました。保有している資産額が上がってもその傾向は大きくは変わらず、デジタル金融資産を1億円以上保有している人でも、41%が「家族が引き出せない」と回答しています。

なぜ家族がデジタル金融資産を引き出せないという回答が多くを占めるのでしょうか。調査では家族がデジタル金融資産を引き出す際に最も困ることを質問。結果、「ID、パスワードが分からない」と回答した人が49%と最多。次いで「デジタル金融資産があることを知らない」が22%でした。

IDが分からない場合、ネット銀行やネット証券のように実店舗がなくてもコールセンターに問い合わせて相続人であることを証明すれば、手間はかかるものの相続手続きを進めることは可能。しかしデジタル金融資産の存在自体が分からなければ、故人のメール履歴をたどって会社を特定するなど作業は困難を極めます。

また、相続は時間との戦いです。故人が亡くなった日から時間のカウントが始まります。例えば、相続放棄は3カ月以内に家庭裁判所に申し立てなければなりません。相続税が発生する場合は10カ月以内に申告・納付が必要で、間に合わないと延滞税が発生します。他にも相続税の申告期限を過ぎれば、税の軽減制度が使えないことも。仮に間に合ったとしても財産を正確に把握できなければ、申告漏れなどリスクを抱えることになります。

 
出所:株式会社GOODREI 「相続実態調査(2024年)」

暗号資産(仮想通貨)は「家族が引き出すのが難しい」

デジタル金融資産の中には、「海外証券口座」のように語学力が求められるものや「仮想通貨」のようにITリテラシーが求められるものも。故人が保有している産を引き出す方法を調べるだけでも一苦労になるかもしれません。

調査結果でも、家族が引き出すことが難しい資産として「仮想通貨」「海外証券口座」「海外銀行口座」の順に回答した人が多く、仮想通貨に至ってはなんと保有者全員が「難しい」と回答しています。

出所:株式会社GOODREI 「相続実態調査(2024年)」