理香子は登園バスが来るのをママ友の芦田と待っていた。雑談をしていると、黄色のかわいらしいバスが近づいてくる。バスが止まってドアが開くと、娘の小百合たちが美奈子先生と手をつないで降りてくる。

「どうだった? 今日も皆と仲良くできた?」

「うん! やま!」

「やま?」

小百合の元気な返事に幸せを感じつつ、首をかしげていると一緒にバスを降りてきていた芦田の息子の宏太が横から入ってくる。

「あのね、今日ね、僕ね、さゆちゃんと砂遊びしたんだよ! それでね、2人でね、大きな山を作ったら、先生がね、褒めてくれたんだ!」

「へえ、そうなんだ。小百合と仲良くしてくれてありがとね。小百合も楽しかった?」

小百合は笑ってうなずく。

「うん! おおきかった!」

楽しそうに話す子供たちを見て、芦田は頰を緩ませている。しかし、整然とその日の出来事を話す宏太を見ていると、理香子は心から笑うことができなかった。