北海道の金融機関

道内には札幌に都市銀行が(三菱UFJ・三井住友・みずほ・りそな)4行、それ以外でも旭川・帯広・釧路に都市銀行が物理的な店舗を構えていますが、預貯金取扱金融機関の中心は、道内に本店を構えるそれ以外の業態です。広大な面積をカバーするため、相当数の金融機関があります。

道内に本店を構える預貯金取扱金融機関[順不同]

銀行

北海道、北洋

信用金庫

北海道、室蘭、空知、苫小牧、北門、伊達、北空知、日高、渡島、道南うみ街、旭川、稚内、留萌、北星、帯広、釧路、大地みらい、北見、網走、遠軽

信用組合

北央、札幌中央、ウリ、函館商工、空知商工、十勝、釧路

労働金庫

北海道

農業協同組合

今金町 ほか98組合

 

特徴は、何と言っても信用事業(=金融事業)を行う農業協同組合の数です。2021年の農業産出額が全国の15%を占める食料供給地帯ゆえ、信用面でそれを支える農業協同組合の活動も、自ずと活発になることが想像に難くありません。

地方銀行の北海道銀行は戦後の1951年に設立され、バブル崩壊後の道内経済の停滞期を何とか乗り切り、2004年に北陸銀行を傘下に持つほくぎんフィナンシャルグループと経営統合し、持株会社であるほくほくフィナンシャルグループの傘下に入る形となっています。

第二地方銀行の北洋銀行は、1917年の北海道無尽をルーツとし、1997年11月に破綻した北海道拓殖銀行の道内店舗網を譲り受け、さらに2008年には同じ第二地方銀行であった札幌銀行とも合併しました。1980年代までは道内に本店のあった銀行が4行あったわけですが、そのうちの北海道銀行を除く3行が北洋銀行に集約されたわけです。この結果、北洋銀行の規模は、第二地方銀行最大手になっています。現在の本店も、かつての北海道拓殖銀行の本店を解体し、跡地に新たに建てられたビルです。

信用金庫も相応に再編が進み、現在道内に本店のある信用金庫は20となっています。特徴的な動向に、このうち札幌市以外に本店を置く13信用金庫(室蘭・空知・苫小牧・北門・北空知・日高・渡島・旭川・稚内・留萌・北星・大地みらい・遠軽)が札幌市内に進出している事情が挙げられます。大地みらい信用金庫の本店は根室市、遠軽信用金庫の本店は紋別郡遠軽町と、札幌市からはかなりの距離があります。

札幌市内には大通に本店を置く北海道信用金庫があり、それと併せれば、全体の7割に当たる14信用金庫が店舗を構えているわけです。こうした信用金庫の間では、結果として「地元で集めた資金を都市部である札幌で貸す」一面がうかがえます。

前回の記事で取り上げた静岡県では、県内9信用金庫のうち静岡市内に進出している信用金庫は4信用金庫です。そのうち静岡市内に本店のない信用金庫は、旧清水市の蒲原に出店していたところ市町村合併で静岡市の店舗となった富士信用金庫と、旧島田信用金庫が進出していた島田掛川信用金庫だけで半分にもなりません。それとは対照的な北海道内の信用金庫事情です。

一方、道内に本店を置く7つの信用組合のうち、札幌市内に進出しているのは4信用組合です。そのうち札幌市以外に本店のあるところは空知商工信用組合だけのようで、信用金庫とは異なる様相を呈しています。

また、北海道労働金庫も出張所・仮想店舗を含めて道内に37の拠点を構えており、3月末現在の預金も1兆円を超えるなど、かなりの存在感があります。

北海道の金融事情に明るくない方からは、「降雪期には資金ニーズがないのでは?」などと照会されることがありますが、相応にあります。雪道を走ればスリップを余儀なくされて事故や故障に至ることも少なくありませんし、雪の重みや水分などで建物や設備のみならず道路なども傷みます。こうした修繕・買換対応などは、むしろ降雪期の方が活発な一面が認められるのです。金融機関は、これらの活動を裏側で支えています。

投資を考えられる際には

総務省の住民基本台帳データ上では、2023年1月時点の総人口が10年前の2013年比で増加したのは、占冠(しむかっぷ)村・東川町・ニセコ町・千歳市・札幌市・恵庭市・東神楽町の7市町村でした。裏返せば、全体の96.1%に当たる残りの172市町村が減少しているわけです。

その数少ない増加自治体のうち、政治経済の中心地である札幌市の人口も、2023年の人口動態で3年連続人口減少の動向が認められています。人口減少社会が明確に反映されている実態と言えるかも知れません。

話題になることは少ないかも知れませんが、2022年3月時点の都道府県別生活保護受給(世帯)率では、北海道は1位の大阪府と3位の沖縄県に挟まれる2位となっており、その比率は2.93%となっています。

各基礎自治体の財政も推して知るべしのところがあるため、公債などの投資には、財政状態を細かく確認されることをお勧めします。

赴任時の印象では、道庁の役人が驚くほど高飛車であり、社会貢献活動の川掃除の実施時にも頼んでも居ない中でしゃしゃり出て「今月は自動車税の納付月なので忘れずに払え」などと宣う(しかも2年連続で全く同じ発言を繰り返す)様子がみられため、あきれ果てました。取材に来ていた北海道新聞の記者に「こんなことを東京西部で発言したら大問題だ」と指摘しましたが、そうした感覚が麻痺していたためか、記事になることはありませんでした。